こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。
「親が亡くなり、遺言書を開けてみたら『全財産は長男に相続させる』と書かれていた」というお話を耳にすることがあります。長男以外のご兄弟からすると、「自分は本当に何も受け取れないのだろうか」という不安を感じる場面かもしれません。
この記事の結論
- 遺言があっても、一定の相続人には「遺留分」として最低限の取り分が保障されているとされています
- 遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求によって金銭を請求できると考えられます
- この請求権には期限があり、知った時から1年、相続開始から10年で消滅するとされています
遺言の内容に納得がいかない場合もご相談ください
遺言があっても保障される「遺留分」とは
遺言書は、原則として被相続人が自由に財産の分け方を決められる制度とされています。しかし、配偶者・子・直系尊属(親など)には、遺言の内容にかかわらず最低限保障される取り分である「遺留分」が認められているとされています(兄弟姉妹には遺留分がありません)。「全財産を長男に相続させる」という遺言があったとしても、他の子には遺留分を請求する権利が残っていると考えられます。
遺留分の割合は、相続人の組み合わせによって異なるとされています。子のみが相続人の場合は、法定相続分の2分の1が遺留分の目安になるとされ、例えば子が2人であれば、それぞれ4分の1(法定相続分1/2×遺留分割合1/2)が遺留分の目安になると考えられます。
遺留分侵害額請求とは何か
遺留分を侵害された相続人が、財産を多く受け取った相続人に対して、侵害された分に相当する金銭の支払いを求める手続きを「遺留分侵害額請求」と呼ぶとされています。2019年の民法改正より前は、財産そのものの返還を求める「遺留分減殺請求」という制度でしたが、現在は金銭での請求に一本化されているとされています。不動産などを共有状態にせず、金銭で解決できる点が特徴と考えられます。
期限に要注意、1年と10年の2つのタイムリミット
遺留分侵害額請求には期限があり、この点が特に見落とされやすいポイントとされています。民法1048条により、相続の開始と、遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことの両方を知った時から1年で、請求権は時効によって消滅するとされています。また、たとえ知らなかったとしても、相続開始から10年が経過すると請求できなくなるとされています。
「まだ気持ちの整理がつかないから」と先延ばしにしているうちに、1年の期限が過ぎてしまうケースもあると考えられます。請求する意思があるなら、内容証明郵便などで早めに意思表示をしておくことが有効とされています。
チェックリスト
- ☐ 自分に遺留分があるかどうか(配偶者・子・直系尊属か)を確認した
- ☐ 相続開始と遺言の内容を知った日を把握している
- ☐ 1年の時効・10年の期限をカレンダーで意識している
- ☐ 意思表示を内容証明郵便等で残す必要性を理解している
よくある質問
Q. 兄弟姉妹だけが相続人の場合、遺留分は請求できますか?
A. 兄弟姉妹には遺留分が認められていないとされています。遺言で「全財産を特定の人に譲る」とされた場合、兄弟姉妹は原則として遺留分を請求できないと考えられます。
Q. 遺留分侵害額請求をすると、必ず裁判になりますか?
A. まずは当事者間での話し合いや、内容証明郵便による請求から始めるのが一般的とされています。話し合いで解決できない場合に、家庭裁判所の調停や訴訟に進むケースがあると考えられます。
ワンポイントアドバイス: 「揉めたくないから」と何もしないままでいると、1年の期限を過ぎて請求自体ができなくなることがあります。まずは期限だけでも確認しておくことをおすすめします。実際の請求交渉や訴訟の代理は弁護士の専門分野となるため、必要に応じて連携先をご紹介いたします。
ここまでが遺留分侵害額請求の全体像です。ただし実務では、贈与の時期や評価額の算定方法によって計算が複雑になることも少なくないとされています。この段階のご相談で構いませんので、まずはお気軽にお声がけください。
まとめ
遺言があっても、一定の相続人には遺留分という最低限の権利が保障されていると考えられます。ただし、その請求には1年・10年という明確な期限があるため、「納得がいかない」という気持ちがある場合は、早めに専門家へ相談することが望ましいとされています。
「どこまで請求できるのか整理したい」というご相談も承ります
遺留分侵害額請求の代理交渉・訴訟は弁護士、相続税への影響の試算は税理士が専門となります。当事務所では遺言書の文案作成や、遺留分に配慮した生前対策のご相談から対応いたします。


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