こんにちは。松戸市・柏市の「相続・遺言と家のなんでも相談室」です。「兄弟で実家を相続したけれど、一人だけ売却に反対していて話が進まない」というご相談は少なくありません。ここでは、共有名義になった不動産を処分する際のルールを整理します。
この記事の結論
- 共有名義の不動産を全体として売却するには、共有者全員の同意が必要とされています(民法251条)。
- 一方で、自分の持分だけを売却することは、他の共有者の同意がなくても単独でできるとされています。
- 2023年の民法改正により、共有者の一部が所在不明な場合でも、裁判所の関与により売却できる制度が整備されたとされています。
不動産全体の売却には全員の同意が必要
遺産分割協議がまとまらないまま相続登記をすると、不動産は相続人全員の「共有名義」になります。この共有不動産を第三者に売却するには、民法251条の「変更行為」にあたるため、共有者全員の同意が必要とされています。共有者のうち一人でも反対すると、不動産全体を売却することはできないとされています。
自分の持分だけなら単独で売却できる
一方、共有者は自分の持分(共有持分)については、他の共有者の同意を得ずに単独で売却できるとされています。ただし、共有持分だけを買い取る買主は限られており、市場価格より低い金額での売却になりやすいとされています。実家全体を活用したい、または適正な価格で売却したい場合は、他の共有者との合意形成を目指す方が現実的なケースが多いとされています。
共有者の一部が反対・不明な場合の選択肢
2023年4月施行の民法改正により、共有者の一部が誰か特定できない、または所在が不明な場合には、裁判所の関与のもとで、残りの共有者の同意により不動産を処分できる制度が整備されたとされています。また、話し合いで解決しない場合には、家庭裁判所ではなく地方裁判所に「共有物分割請求訴訟」を提起する方法もあるとされています。裁判所の判断により、現物分割・代償分割(一人が他の共有者の持分を買い取る)・換価分割(売却して代金を分ける)のいずれかの方法が命じられることがあるとされています。
主な選択肢の比較
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 話し合いでの合意 | 共有者全員で売却・分割方法に合意する、最も手続きが簡単な方法 |
| 持分のみの売却 | 自分の持分だけを第三者や他の共有者に売却する |
| 共有物分割請求訴訟 | 話し合いがまとまらない場合に、裁判所に分割方法を判断してもらう |
よくある事例(参考)
Cさんのケース(参考):実家を3人の兄弟で相続し、共有名義のまま数年が経過していました。売却したい人と、思い出のある実家を残したい人とで意見が分かれ、話し合いが難航していましたが、まずは行政書士に相談し、それぞれの希望や事情を整理した上で、必要に応じて弁護士と連携しながら合意形成を進めるという流れになったという例が一般的なパターンとして紹介されています。
チェックリスト
- ☐ 不動産が共有名義になっているか、持分割合を把握しているか
- ☐ 共有者全員の連絡先・所在を把握できているか
- ☐ 売却・活用・保有のうち、自分の希望はどれか整理できているか
- ☐ 他の共有者との話し合いの機会を設けられているか
よくある質問
Q1. 共有者の一人が認知症で判断能力がない場合はどうなりますか?
A. 判断能力が低下している共有者がいる場合、成年後見制度を利用して後見人を選任し、後見人が本人に代わって同意の判断を行う必要があるとされています。
Q2. 共有名義のままでも固定資産税は誰が払うのですか?
A. 共有者全員が持分に応じて納税義務を負うとされていますが、実務上は代表者一人に納税通知書が届き、他の共有者が代表者に負担分を支払う形で対応することが多いとされています。
ワンポイントアドバイス
共有名義のまま放置すると、次の世代でさらに共有者が増え、合意形成がより難しくなる可能性があります。早い段階で話し合いの場を持つことをおすすめします。
まとめ
共有不動産の全体売却には共有者全員の同意が必要ですが、自分の持分だけであれば単独での売却も可能とされています。話し合いがまとまらない場合は、共有物分割請求訴訟などの法的手段もあります。争いが深刻化している場合は、連携する弁護士と一緒に対応することもできます。


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