「実家を売ろうとしたら、隣の家との境界がどこにあるのかはっきりしないと不動産会社に言われた」というご相談を受けることがあります。柏市の行政書士だいち法務事務所です。特に昔からある土地では、境界標が失われていたり、そもそも一度も測量されていなかったりするケースが少なくありません。
この記事の結論
- 境界の確定方法には、隣地所有者との合意、法務局の「筆界特定制度」、裁判所での境界確定訴訟の3つがあります。
- 筆界特定制度は、訴訟に比べて簡易・迅速(目安として1年程度)に境界(筆界)を特定できる制度とされています。
- 境界が不明確なままだと、相続後の売却や測量の際に手続きが遅れる要因になるため、可能であれば生前に確定させておくことが望ましいといえます。
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なぜ境界が曖昧なまま残ってしまうのか
古くからある土地では、正式な測量図が作成されないまま代々受け継がれてきたケースが多く見られます。境界標(杭やプレート)が経年劣化や工事等で失われてしまうこともあり、いざ売却や建て替えの段階になって初めて「隣地との境界がはっきりしない」ことに気づくケースが少なくありません。境界が確定していないと、正確な測量図を前提とする不動産取引や、相続登記後の分筆手続きなどが進めにくくなります。
境界を確定させる3つの方法
境界を確定させる方法としては、大きく3つが考えられます。1つ目は、隣地所有者との話し合いにより境界を合意し、「筆界確認書(境界確認書)」を取り交わす方法です。当事者間の合意が得られれば、比較的短期間かつ低コストで進められます。
2つ目は、法務局が運営する「筆界特定制度」です。土地家屋調査士や弁護士などの専門家が「筆界調査委員」として調査し、法務局長が公法上の境界(筆界)を特定する制度で、2006年に始まったとされています。訴訟に比べて手続きが簡易で、期間も1年程度を目安に終わることが多いとされています。
3つ目は、裁判所での「境界確定訴訟」です。当事者間の対立が深く、話し合いでの解決が難しい場合に選ばれる方法ですが、解決までに数年単位の時間がかかることもあるとされています。
費用の目安
筆界特定制度を利用する場合、法務局に納める手数料(対象地の固定資産税評価額等に応じて算定)に加えて、土地家屋調査士による測量・調査費用が別途必要になります。測量費用は土地の形状や面積、隣接地の数などによって幅がありますが、一般的な戸建て住宅の敷地でおおむね数十万円程度が目安になることが多いとされています。正確な見積もりは、土地家屋調査士に個別に相談することをおすすめします。
相続前に確定させておくメリット
境界の確定は、相続が発生してからでも行うことはできますが、相続人が複数いる状態で手続きを進めるよりも、所有者がご健在のうちに進めたほうが、隣地所有者との話し合いや必要書類の準備がスムーズに進みやすいという実務上のメリットがあります。将来的に実家の売却や活用を考えている場合は、早めに境界の状況を確認しておくことをおすすめします。
チェックリスト
- ☐ 実家の境界標(杭・プレート等)が現存しているか確認した。
- ☐ 測量図・地積測量図が法務局に備え付けられているか確認した。
- ☐ 隣地所有者との関係性を踏まえ、合意による確定が可能か検討した。
- ☐ 合意が難しい場合の筆界特定制度の利用を検討した。
Q. 筆界特定制度を使えば、隣地所有者の同意がなくても境界を確定できますか?
A. 隣地所有者の同意がなくても、法務局長の判断により筆界を特定することができるとされています。ただし、隣地所有者にも調査手続きへの参加機会が設けられます。
Q. 筆界特定制度の結果に不服がある場合、どうすればいいですか?
A. 筆界特定の結果に不服がある場合は、あらためて境界確定訴訟を提起することができるとされています。筆界特定制度の結果は、訴訟における有力な資料として扱われることが多いようです。
ワンポイントアドバイス: 境界の問題は、時間が経つほど関係者(隣地所有者や当時の事情を知る人)が変わり、解決が難しくなる傾向があります。「そろそろ実家をどうするか考えたい」と思ったタイミングで、まずは境界標の有無だけでも確認しておくことをおすすめします。
まとめ
実家の境界が不明確なまま相続を迎えると、売却や測量の場面で手続きが滞る原因になります。話し合いによる合意が難しい場合は、訴訟より簡易な筆界特定制度という選択肢もあるため、早めに現状を確認し、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。
実家の名義変更・境界確定のご相談も承ります
なお、筆界特定制度の申請手続きや測量は土地家屋調査士、境界確定訴訟の代理は弁護士の専門分野です。当事務所では、相続に伴う名義変更のご相談から、必要に応じた専門家のご紹介まで対応しています。
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