「固定資産税の納税通知書が自分宛てに届いたので、とりあえず全額を払っておいたが、兄弟にはどう請求すればいいのか」というご相談を受けることがあります。柏市の行政書士だいち法務事務所です。名義変更(相続登記)が終わるまでの間、相続した実家の固定資産税を相続人同士でどう負担し合うのか、あらかじめ整理しておきましょう。
この記事の結論
- 共有名義の不動産(相続登記前の実家など)にかかる固定資産税は、地方税法10条の2により共有者全員の連帯納税義務とされ、市区町村はそのうちの誰に対しても全額を請求できるとされています。
- 共有者間の内部的な負担割合は、民法253条1項により各自の持分(相続の場合は原則として法定相続分)に応じるとされています。
- 一人が立て替えて納付した場合は、他の共有者に対して負担分の支払いを求める「求償」ができるとされています。
固定資産税の負担割合でお困りなら、まずご相談ください
対外的には「連帯」、内部的には「持分に応じた負担」
相続登記が済むまでの間、実家などの不動産は相続人全員の共有状態にあるとされています。市区町村に対しては、地方税法10条の2にもとづき共有者全員が連帯して納税義務を負うため、市区町村はそのうちの一人に対して固定資産税の全額を請求することができるとされています。一方で、共有者同士の内部的な負担割合については、民法253条1項にもとづき、各共有者が持分に応じて負担するのが原則とされています。相続の場合、持分は原則として法定相続分に沿って決まります。
立て替えた分は「求償」できる
納税通知書が特定の相続人(相続人代表者)宛てに届き、その人が全額を立て替えて納付した場合、本来他の共有者が負担すべきだった分については、その共有者に対して支払いを求める「求償」ができるとされています。求償できる範囲は、原則として各共有者の持分割合に応じた金額とされています。口約束のまま曖昧にせず、負担額の根拠を明確にしておくことが重要です。
求償に応じてもらえない場合はどうするか
求償を求めても支払いに応じてもらえない場合、まずは金額や根拠(持分割合の計算根拠、納付済みの領収書等)を明示して書面で請求することが望ましいとされています。それでも解決しない場合は、少額訴訟や通常の民事訴訟による回収を検討することになります。共有者の一人が1年以上にわたって共有物についての負担を履行しない場合、他の共有者が相当の償金を支払ってその持分を取得できる制度(民法253条2項)も用意されているとされていますが、実際に活用するにはハードルが高く、まずは早期の遺産分割・相続登記による共有状態の解消を目指すのが現実的といえるでしょう。
根本的な解決は相続登記による共有状態の解消
固定資産税の負担をめぐるトラブルは、共有状態が長引くほど発生しやすくなります。2024年4月から相続登記が義務化され、相続の開始及び所有権の取得を知った日から原則3年以内に申請する必要があるとされているため、負担割合で揉める前に、早めに遺産分割協議を進めて名義を確定させることが根本的な解決につながります。
チェックリスト
- ☐ 納税通知書が誰宛てに届いているか確認した。
- ☐ 各共有者の持分割合(原則として法定相続分)を確認した。
- ☐ 立て替えた分の求償について、書面での請求を準備している。
- ☐ 相続登記(2024年4月義務化、原則3年以内)による共有状態の解消を検討している。
Q. 固定資産税の納税通知書は、相続人全員に届きますか?
A. 実務上は、市区町村へ提出した「相続人代表者指定届」にもとづき、代表者一人に宛てて送付されるのが一般的とされています。代表者以外の相続人にも連帯納税義務があるため、届いていないからといって負担を免れるわけではないとされています。
Q. 求償できる金額に時効はありますか?
A. 求償権は債権の一種であり、一般的な消滅時効(原則として権利を行使できることを知った時から5年)の対象になると考えられています。長期間放置すると請求が難しくなる可能性があるため、早めに整理しておくことが望ましいでしょう。
ワンポイントアドバイス: 立て替えた固定資産税の領収書や納税通知書は、後日の求償や遺産分割協議の際の精算資料として使えるよう、まとめて保管しておくことをおすすめします。
まとめ
相続登記前の固定資産税は共有者全員の連帯納税義務ですが、内部的には持分に応じた負担が原則です。立て替えた分は求償できるとされていますが、根本的な解決のためには早めの遺産分割・相続登記が欠かせません。
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相続登記の申請自体は司法書士の職域となりますが、当事務所では相続人調査や遺産分割協議書の作成、固定資産税の負担割合についてのご相談に対応しています。


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