相続人の一人と何年も連絡が取れない…遺産分割はあきらめるしかない?|不在者財産管理人という選択肢

不在者財産管理人を利用した遺産分割手続きのイメージ画像 相続 遺言 不動産
相続人と連絡が取れない場合の不在者財産管理人制度について解説する記事のアイキャッチ画像です。

「相続人の一人が10年以上前に家を出たきり音信不通で、遺産分割協議を進めようにも連絡先すら分からない」というご相談を受けることがあります。柏市の行政書士だいち法務事務所です。相続人全員の合意がなければ遺産分割協議は成立しませんが、行方不明の相続人がいるからといって、手続きを永久にあきらめる必要はありません。家庭裁判所を通じた「不在者財産管理人」という制度を使うことで、協議を前に進められる場合があります。

この記事の結論

  • 行方不明の相続人がいても、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらうことで、遺産分割協議を進められる場合があるとされています。
  • 不在者財産管理人が遺産分割協議に参加するには、財産の管理・保存を超える行為にあたるため、別途「権限外行為許可」を家庭裁判所から得る必要があるとされています。
  • 申立ての収入印紙は不在者1人につき800円分とされていますが、財産管理人への報酬等に充てる予納金として数十万円程度を求められることがある点に注意が必要です。

行方不明の相続人がいて協議が進まない方はご相談ください

相続人全員の合意がなければ遺産分割は成立しない

遺産分割協議は、相続人全員の参加と合意がなければ有効に成立しないとされています。一人でも連絡が取れない相続人がいると、他の相続人だけで話し合いを進めて合意しても、その協議は無効になってしまいます。まずは戸籍の附票などで最後の住所地を調べ、手紙を送るなどして本当に連絡が取れないかを確認することが最初のステップになります。それでも連絡がつかない場合に検討するのが、家庭裁判所への不在者財産管理人選任の申立てです。

不在者財産管理人とはどんな制度か

民法25条から29条にもとづき、従来の住所や居所を去り、容易に戻る見込みがない人(不在者)について、その財産を管理する人を家庭裁判所が選任できる制度が不在者財産管理人です。申立てができるのは利害関係人(他の相続人など)や検察官とされており、申立先は不在者の従来の住所地を管轄する家庭裁判所とされています。選任された管理人は、家庭裁判所の監督のもとで不在者の財産を保存・管理する役割を担います。

遺産分割協議には「権限外行為許可」が別途必要

注意したいのは、不在者財産管理人が選任されただけでは、まだ遺産分割協議に参加できない点です。財産管理人の通常の権限は財産の管理・保存にとどまるとされており(民法103条)、遺産分割協議への参加のように処分を伴う行為を行うには、家庭裁判所から別途「権限外行為許可」を得る必要があるとされています。この許可の審査では、不在者の利益が不当に害されていないか、具体的には不在者に法定相続分に相当する財産が確保されているかどうかが重視される傾向にあるとされています。

申立てにかかる費用の目安

申立てに必要な収入印紙は、裁判所の案内によると不在者1人につき800円分とされており、これに連絡用の郵便切手代が加わります。一方で見落とされがちなのが「予納金」です。不在者の財産だけでは管理人の報酬や実費をまかなえないと見込まれる場合、申立人が数十万円程度の予納金を裁判所に納めるよう求められることがあるとされています。予納金の具体的な金額は事案ごとに家庭裁判所が判断するため、事前に管轄の家庭裁判所や専門家に確認しておくと安心です。

チェックリスト

  • ☐ 行方不明の相続人の戸籍・戸籍の附票で最後の住所地を確認した。
  • ☐ 手紙の送付など、連絡を試みる手段を実際に尽くした。
  • ☐ 不在者財産管理人選任の申立て先(不在者の従来の住所地の家庭裁判所)を把握している。
  • ☐ 収入印紙代のほか、予納金が必要になる可能性を理解している。

Q. 不在者財産管理人には誰が選ばれますか?自分で候補者を立てられますか?

A. 申立人が候補者を挙げることはできますが、最終的に誰を選任するかは家庭裁判所の判断によるとされています。相続人自身が財産管理人になろうとする場合は、不在者との利害関係が問題視され、弁護士や司法書士などの専門家が選ばれることもあると考えられます。

Q. 不在者財産管理人の仕事は、遺産分割協議が終わったら終了しますか?

A. 遺産分割協議が成立した後も、不在者財産管理人としての役割は不在者が現れる、または失踪宣告がなされるなどの事情がない限り継続するとされています。管理すべき財産(不在者が取得した相続財産など)が残っている間は、家庭裁判所の監督のもとで管理業務が続く点に留意が必要です。

ワンポイントアドバイス: 不在者財産管理人の申立てには戸籍収集や不在の実情を示す資料の準備など、手間のかかる作業が伴います。予納金の見込み額も含めて、早い段階で行政書士などの専門家に相談し、見通しを立てておくことをおすすめします。

まとめ

行方不明の相続人がいても、不在者財産管理人の選任と権限外行為許可という二段階の手続きを経れば、遺産分割協議を進められる可能性があります。ただし収入印紙代だけでなく予納金の負担が生じることもあるため、費用面も含めて早めに見通しを立てておくことが大切です。

不在者財産管理人の申立て準備からサポートいたします

家庭裁判所への申立書類の作成は行政書士が対応できる分野ですが、実際の審判手続きで争いが生じた場合は弁護士との連携が必要になることもあります。当事務所では、戸籍調査から申立書類の準備まで、行方不明の相続人がいる複雑なケースにも対応しています。

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