船が遭難して死亡の危急が迫っている…遺言は残せる?|船舶遭難者遺言(民法979条)という特別方式

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船舶遭難者遺言(民法979条)という特別方式

船旅や漁業など、海に出る機会がある方から「もしもの時に遺言を残せるのか」というご相談を受けることがあります。柏市の行政書士だいち法務事務所です。民法には、船舶が遭難し死亡の危急が迫った場合に備えた「船舶遭難者遺言」という特別な方式が定められているとされています。今回はこの制度の仕組みを解説します。

この記事の結論

  • 船舶が遭難し、その船舶中で死亡の危急に迫った人は、証人2人以上の立会いのもとで口頭により遺言をすることができるとされています(民法979条)。
  • 一般の危急時遺言(民法976条)よりも要件が緩和されており、証人は2人以上で足り、遺言者への内容の読み聞かせも不要とされています。
  • この方式による遺言の効力を生じさせるには、証人の1人または利害関係人から家庭裁判所へ確認の請求を行う必要があるとされています。

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船舶遭難者遺言(民法979条)とは

民法979条は、船舶が遭難した場合において、その船舶中に在って死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人2人以上の立会いをもって口頭で遺言をすることができると定めているとされています。証人は、遺言者が口授した趣旨を筆記して署名・押印し、証人の1人または利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ効力が生じないとされています。遺言者が口がきけない場合は、通訳人の通訳によって遺言をすることになるとされています。

一般危急時遺言(民法976条)との違い

死亡の危急に迫った人のための特別方式には、一般危急時遺言(民法976条)と船舶遭難者遺言(民法979条)の2種類があるとされています。一般危急時遺言は証人3人以上の立会いが必要で、筆記した内容を遺言者・他の証人に読み聞かせる(または閲覧させる)手続きが求められるとされています。これに対し、船舶遭難という一層切迫した状況を踏まえた船舶遭難者遺言では、証人は2人以上で足り、読み聞かせの手続きも不要とされ、より簡便な方式が認められている点が異なります。

効力を生じさせるための家庭裁判所への確認請求

船舶遭難者遺言は、口頭で行った時点で完結するものではなく、証人の1人または利害関係人が家庭裁判所に対して「確認」の請求を行い、その確認を得て初めて効力が生じるとされています。この確認の手続きは、遺言者の真意にもとづくものであるかを家庭裁判所が審査するものとされ、通常の自筆証書遺言等における検認とは別の制度と位置づけられています。また、特別方式による遺言は、遺言者が普通の方式で遺言をすることができるようになった時から6か月間生存するときは、その効力を失うとされています。

チェックリスト

  • ☐ 船舶遭難者遺言は証人2人以上の立会いで口頭により残せる方式であることを把握している。
  • ☐ 一般危急時遺言との違い(証人の人数・読み聞かせの要否)を理解している。
  • ☐ 家庭裁判所への確認請求が必要な点を把握している。
  • ☐ 普通方式で遺言できる状態に戻ってから6か月生存すると効力を失う点を確認している。

Q. 船舶遭難者遺言は、船に乗る前にあらかじめ準備しておくものですか?

A. あらかじめ準備するものではなく、実際に船舶が遭難し死亡の危急に迫った状況になって初めて用いられる特別な方式とされています。事前の備えとしては、公正証書遺言や自筆証書遺言書保管制度の利用が現実的といえるでしょう。

Q. 証人には誰でもなれますか?

A. 未成年者や推定相続人・受遺者、その配偶者・直系血族などは証人になれない欠格事由が定められているとされ(民法974条)、船舶遭難者遺言の証人についても同様の制限が及ぶとされています。

ワンポイントアドバイス: 特別方式の遺言はあくまで緊急時のための最終手段とされています。健康なうちに公正証書遺言や自筆証書遺言書保管制度を利用しておけば、こうした特別な手続きに頼らずに済むため、早めの準備をおすすめします。

まとめ

船舶遭難者遺言(民法979条)は、船舶の遭難という極めて切迫した状況に備えた特別方式で、証人2人以上の立会いで口頭により遺言を残せるとされています。もっとも、実際に用いられる場面は限られるため、通常時からの公正証書遺言等による備えが安心につながるでしょう。

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