亡くなった親名義でないのに相続税がかかる?|名義預金と税務調査で指摘されやすいポイント

「専業主婦だった母や、子ども名義の口座にあるお金にまで相続税がかかると言われた」というご相談を受けることがあります。柏市の行政書士だいち法務事務所です。家族名義の預金であっても、実質的に亡くなった方の財産と判断されるものは「名義預金」と呼ばれ、相続税の申告に含める必要があるとされています。税務調査で指摘されやすいポイントを整理します。

この記事の結論

  • 相続税は、被相続人(亡くなった方)の名義でなくても、実質的に被相続人に帰属すると認められる財産(名義預金・名義株式など)を含めて課税対象になるとされています(国税庁タックスアンサーNo.4105)。
  • 名義預金にあたるかどうかは、①預金の原資は誰が出したか、②通帳・印鑑・キャッシュカードを誰が管理していたか、③名義人がその口座の存在を認識していたか、④贈与契約や贈与税の申告の有無、⑤被相続人と名義人の関係、といった実質面から総合的に判断されるとされています。
  • 相続税の税務調査では、指摘の多くが現金・預貯金に関するものとされており、家族名義の口座も確認対象になり得るとされています。申告前に家族名義の預金の状況を洗い出しておくことが望ましいとされています。

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「名義預金」とはどんな預金か

名義預金とは、口座の名義が配偶者や子、孫など被相続人以外になっているものの、実質的な持ち主が被相続人であると判断される預金のことをいうとされています。国税庁のタックスアンサーでは、相続税は現金・預貯金など経済的価値のあるすべての財産にかかるとされており、被相続人の名義でなくても、実質的に被相続人に帰属すると認められる財産は相続税の対象に含まれるとされています。専業主婦の妻名義の口座に、生前に夫の収入が積み立てられていたようなケースが典型例として挙げられます。

税務調査で判断される5つのポイント

名義預金にあたるかどうかは、次のような点から実質的に判断されるとされています。

  • 預金の原資(もとになったお金)を実際に出したのは誰か
  • 通帳・印鑑・キャッシュカードを、名義人本人ではなく被相続人が管理していなかったか
  • 名義人自身が、その口座の存在をそもそも認識していたか
  • 贈与契約書の作成や、贈与税の申告がきちんと行われていたか
  • 被相続人と名義人の関係、口座開設の経緯

相続税の税務調査では、申告漏れの指摘のうち現金・預貯金等が占める割合が高いとされており、被相続人名義の口座だけでなく、家族名義の口座まで確認の対象になり得るとされています。名義が誰であるかよりも、実質的な支配・管理の状況が重視される点に注意が必要です。

指摘されるとどうなるか、事前にできる対策

名義預金と判断された場合、相続財産に含めずに申告していると、修正申告を求められたり、過少申告加算税・重加算税といった追加の税負担が生じたりする可能性があるとされています。生前にできる対策としては、贈与をする際に贈与契約書を作成して贈与税の申告を行うこと、名義人本人が通帳・印鑑を保管し自由に使える状態にしておくこと、名義人自身がその口座の存在をきちんと認識していることなどが挙げられます。書類だけを整えても、実態が伴っていなければ名義預金と判断され得るとされているため、形式と実質の両方を意識することが大切です。

チェックリスト

  • ☐ 家族名義の預金について、原資が誰の収入・財産だったかを確認している。
  • ☐ 通帳・印鑑・キャッシュカードを実際に誰が管理していたかを把握している。
  • ☐ 名義人自身がその口座の存在を認識しているかどうかを確認している。
  • ☐ 過去の贈与について、贈与契約書や贈与税の申告の有無を確認している。

Q. 名義預金にあたると、必ず税務調査で否認されますか?

A. 必ず否認されるとは限らないとされていますが、原資や管理状況などから総合的に実質判断されるため、贈与の実態を裏付ける資料が乏しい場合は否認されやすいとされています。

Q. 生前に贈与税の申告さえしていれば、名義預金とは判断されませんか?

A. 贈与契約書の作成や贈与税の申告に加えて、名義人自身が口座を管理し自由に使える状態であったかどうかも重視されるとされています。書類の有無だけで判断が決まるわけではないと考えられています。

ワンポイントアドバイス: 家族名義の口座を新しく作る際は、通帳・印鑑を名義人自身が保管し、実際に入出金できる状態にしておくことが、後々の名義預金トラブルを避けるうえで大切とされています。相続が発生してからでは実態を証明しづらくなるため、生前からの記録・管理を意識しておくとよいでしょう。

まとめ

家族名義の預金であっても、原資や管理の実態によっては相続財産として申告が必要になる場合があるとされています。相続税の申告を控えている方は、家族名義の口座も含めて早めに状況を整理しておくことをおすすめします。

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