「遺言書を作成したものの、この先増えるかもしれない預金や、うっかり書き漏らした財産があったらどうなるのか不安」というご相談を受けることがあります。柏市の行政書士だいち法務事務所です。遺言書に記載のない財産が後から見つかった場合にどう扱われるのかを知っておくと、こうした不安を防ぐことができます。
この記事の結論
- 遺言書に記載のない財産が見つかった場合、その財産には遺言の効力が及ばず、相続人全員での遺産分割協議が必要になるとされています。
- 「遺言書に記載した財産のほか、その他一切の財産は〇〇に相続させる」という条項をあらかじめ入れておくことで、記載漏れによる協議の手間を防げるとされています。
- 預金口座やネット証券、暗号資産など把握しにくい財産が増えている近年、この条項の重要性は高まっているといえます。
遺言書の内容にご不安があれば、まずご相談ください
記載のない財産が見つかったらどうなるか
遺言書は、記載された特定の財産についてのみ効力を持つのが原則とされています。そのため、遺言作成後に新たに取得した財産や、うっかり記載を忘れていた財産については遺言の効力が及ばず、相続人全員による遺産分割協議で分け方を決める必要があるとされています。せっかく遺言書を作成しても、一部の財産だけ相続人同士の話し合いが必要になれば、争いの火種が残ってしまいかねません。
「その他一切の財産」条項とは
このような事態を防ぐために用いられるのが、「遺言書に記載した財産のほか、その他一切の財産を〇〇に相続させる」という条項です。不動産や預貯金など主要な財産を個別に列挙したうえでこの一文を加えておくことで、記載漏れの財産や、遺言作成後に新たに生じた財産についても、遺言の効力を及ぼすことができるとされています。
なぜ今、この条項が重要視されているのか
近年は、複数の銀行口座やネット証券口座、暗号資産(仮想通貨)など、本人以外には把握しにくい財産を持つ方が増えています。こうした財産は遺言作成時にすべてを網羅的に把握・記載することが難しく、記載漏れが生じやすい典型例とされています。「その他一切の財産」条項を入れておくことで、把握しきれなかった財産についても遺言者の意思を反映させやすくなります。
条項を入れる際の注意点
「その他一切の財産」の相続先を、主要な財産の相続人と同じ人にするか、別の人にするかによって、家族間の受け止め方が変わることがあります。特に相続人が複数いる場合は、この条項の相続先次第で遺留分(法律上最低限保障された取り分)の侵害が問題になることもあるとされています。条項を入れる際は、財産全体のバランスを踏まえたうえで検討することが望ましいでしょう。
チェックリスト
- ☐ 遺言書に主要な財産(不動産・預貯金など)を漏れなく列挙している。
- ☐ 「その他一切の財産は〇〇に相続させる」旨の条項を入れているか確認した。
- ☐ ネット証券・暗号資産など、把握しにくい財産の有無を確認した。
- ☐ 条項の相続先が、他の相続人の遺留分を侵害しないか確認した。
Q. 「その他一切の財産」条項を入れれば、財産の記載は大まかでも大丈夫ですか?
A. 主要な財産(不動産・預貯金等)はできる限り具体的に記載し、記載漏れに備える保険としてこの条項を加える、という位置づけが基本とされています。大まかな記載だけに頼ることはおすすめできません。
Q. すでに作成した遺言書にこの条項がない場合、どうすればいいですか?
A. 遺言書は、方式にしたがえば何度でも書き直すことができます。条項がない場合は、追記や作成し直しを検討するとよいでしょう。
ワンポイントアドバイス: 財産の一覧(財産目録)を作成し、定期的に見直す習慣をつけておくと、遺言書の記載内容とのズレに早く気づくことができます。
まとめ
遺言書に記載のない財産が見つかると、せっかくの遺言があっても遺産分割協議が必要になってしまいます。「その他一切の財産は〇〇に相続させる」という条項をあらかじめ入れておくことで、こうしたリスクを防ぐことができます。
遺言書の文言・条項の作成もお任せください
遺言書の文言・条項の設計は行政書士がサポートできますが、相続税に関わる財産評価や節税対策は税理士の専門分野となるため、必要に応じて連携先をご紹介いたします。当事務所では、財産目録の整理から遺言書案の作成までお手伝いしています。
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