こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。
相続が始まったものの、「プラスの財産とマイナスの財産、どちらが多いのか分からない」という状況に直面する方は少なくないとされています。「借金の方が多いなら放棄したいが、実はプラスの財産もあるかもしれない」という中途半端な状況では、判断に迷ってしまうことも多いようです。
この記事の結論
- 相続放棄・限定承認・単純承認のいずれかを、原則3か月以内に選ぶ必要があるとされています
- 負債が明らかに多ければ相続放棄、見通しが立たなければ限定承認が選択肢になり得ます
- 限定承認は相続人全員が共同で行う必要がある点が、相続放棄と大きく異なるとされています
遺産の内容がはっきりしない場合もご相談ください
相続には3つの選択肢がある
相続が開始すると、相続人には「単純承認」「相続放棄」「限定承認」の3つの選択肢があるとされています。何もしなければ原則として単純承認(プラスもマイナスもすべて引き継ぐ)をしたものとみなされるため、負債が多い場合は自分から手続きをとる必要があると考えられます。
民法915条により、これらの選択は、自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3か月以内(熟慮期間)に行う必要があるとされています。財産状況の調査に時間がかかる場合は、家庭裁判所に申し立てて期間を伸ばしてもらえる場合もあるようです。
相続放棄と限定承認、何が違うのか
相続放棄は、プラスの財産も含めて一切を引き継がない手続きとされています。負債が明らかに多い場合や、そもそも遺産に関わりたくない場合に選ばれることが多いようです。相続人単独で申述できる点も特徴と考えられます。
これに対して限定承認(民法922条)は、相続によって得たプラスの財産の限度でのみ、負債の弁済責任を負うという中間的な制度とされています。「借金の方が多いかもしれないが、思い出の実家など手放したくない財産もある」というケースで検討されることがあるようです。ただし、限定承認は相続人全員が共同で行う必要があるとされており(民法923条)、一人でも単純承認してしまった相続人がいると選べなくなる点に注意が必要と考えられます。
限定承認が実務上あまり使われない理由
限定承認は柔軟な制度である一方、相続人全員の合意形成に加え、相続財産の目録作成、官報公告、財産の清算手続きなど、手続きの負担が大きいとされています。みなし譲渡所得税(相続財産を時価で譲渡したものとみなして課税される制度)が発生する場合がある点も、単純承認や相続放棄と比べて複雑になりやすい要因のひとつと考えられます。そのため実務上は、負債の状況がある程度分かっている場合は相続放棄が選ばれることが多いとされています。
チェックリスト
- ☐ 熟慮期間(原則3か月)の起算日を把握している
- ☐ 遺産の資産・負債の概要を調査したことがある
- ☐ 限定承認を選ぶ場合、他の相続人全員の意向を確認している
- ☐ 期間内に判断できない場合の期間伸長の申立てを検討している
よくある質問
Q. 3か月以内に財産調査が終わらない場合はどうすればいいですか?
A. 家庭裁判所に対して、熟慮期間の伸長を申し立てる方法があるとされています。期限が近づいている場合は、早めに申立てを検討することが望ましいと考えられます。
Q. 相続放棄をすると、次の順位の相続人に負債が移りますか?
A. 相続放棄をすると、その方は初めから相続人でなかったことになり、次順位の親族(祖父母や兄弟姉妹など)が新たに相続人となる場合があるとされています。放棄する際は、次順位の親族にも事情を伝えておくと、後々のトラブルを避けやすいと考えられます。
ワンポイントアドバイス: 財産調査は、通帳や郵便物から借入先の心当たりを洗い出すことから始めるとよいとされています。相続放棄・限定承認の申述書作成や家庭裁判所の手続きは司法書士・弁護士の専門分野となるため、状況に応じて連携先をご紹介いたします。
まとめ
相続放棄と限定承認は、いずれも負債の承継を避けるための制度ですが、対象範囲や手続きの負担が大きく異なるとされています。財産状況が不明な場合ほど、早めに調査と専門家への相談を始めることが、熟慮期間内の判断につながると考えられます。
熟慮期間内に判断したい方は、お早めにご相談ください
相続放棄・限定承認の申述手続きは司法書士・弁護士、みなし譲渡所得税の申告は税理士が専門となります。当事務所では財産調査に必要な戸籍収集等のご相談から対応いたします。


コメント