遺言の中身を誰にも知られたくない…そんな遺言は作れる?|秘密証書遺言のルールと検認の手間(民法970条)

秘密証書遺言のルールと検認の手間を解説する柏市の行政書士だいち法務事務所のアイキャッチ画像 相続 遺言 不動産

「遺言の内容を、公証人や証人にも見られたくない」という要望を受けることがあります。柏市の行政書士だいち法務事務所です。自筆証書遺言や公正証書遺言と並んで、あまり利用されていない方式に「秘密証書遺言」があります。存在は公的に証明しつつ内容は明かさずに済む、という特徴を持つ制度ですが、実際に使う場面ではいくつか注意しておきたい点もあります。今回はこの制度の仕組みと注意点を整理します。

この記事の結論

  • 秘密証書遺言は、遺言者が証書に署名・押印して封印し、公証人1人・証人2人以上の前で自己の遺言書である旨を申述することで作成する方式(民法970条)とされています。
  • 遺言の内容自体は公証人にも明かさずに済むため、存在は公的に証明しつつ内容を秘密にできる点が特徴とされています。
  • 公証人手数料は内容にかかわらず一律11,000円とされていますが、自筆証書遺言と同様に、相続開始後は家庭裁判所での検認手続きが必要とされている点に注意が必要です。

遺言の方式選びで迷ったらご相談ください

秘密証書遺言とはどんな制度か(民法970条)

秘密証書遺言は、遺言者が作成した証書に署名・押印した上でこれを封じ、証書に用いた印章で封印し、公証人1人および証人2人以上の前に封書を提出して「これが自己の遺言書である旨」と「筆者の氏名・住所」を申述する方式とされています(民法970条)。公証人は提出日付と遺言者の申述内容を封紙に記載し、遺言者・証人とともに署名・押印しますが、封筒の中身そのものを確認するわけではないため、内容を誰にも明かさずに存在だけを公的に記録できる仕組みとされています。

公正証書遺言・自筆証書遺言との違い

公正証書遺言は公証人が内容の作成に関与し、原本も公証役場で保管されるため、方式の不備による無効リスクが低く検認も不要とされています。一方で内容が公証人・証人に伝わる点は秘密証書遺言と異なります。自筆証書遺言は全文を自書する必要がありますが、費用をかけずに作成でき、法務局の保管制度を使えば検認も不要になるとされています。秘密証書遺言はこの中間に位置し、内容は伏せられる一方、証人2人の手配や検認手続きは自筆証書遺言と同様に必要になる、という特徴があるとされています。

見落としやすい注意点

秘密証書遺言では、遺言者の署名以外の本文部分について、自書に限らずパソコンでの作成や代筆が認められているとされています(証書提出時に筆者の氏名・住所を申述する規定は、こうした自書以外の作成方法を前提にしていると考えられています)。ただし公証人は内容の有効性までは確認しないため、要件不備によって遺言そのものが無効になるリスクは自筆証書遺言と同様に残るとされています。加えて、証書の保管は遺言者自身の責任で行う必要があり、紛失や相続人に発見されないリスクにも注意が必要です。相続開始後は、開封前に家庭裁判所での検認手続きを経る必要があるとされている点も忘れずに押さえておきたいポイントです。

チェックリスト

  • ☐ 遺言の内容を公証人・証人にも明かしたくない事情があるか確認した。
  • ☐ 欠格事由に該当しない証人2人を用意できるか確認した。
  • ☐ 公証役場に依頼し、手数料11,000円を準備している。
  • ☐ 保管方法(自宅・貸金庫等)と相続開始後の検認手続きの流れを理解している。

Q. 秘密証書遺言は自分でパソコンで作成してもいいですか?

A. 秘密証書遺言は、遺言者の署名・押印以外の本文部分について、自書でなくパソコンでの作成や代筆が認められているとされています。ただし内容面の要件不備は公証人によるチェックの対象外であるため、有効性については別途注意が必要です。

Q. 秘密証書遺言を作った後、内容を書き換えたくなったらどうすればいいですか?

A. 新たに遺言を作成する、または前の遺言を撤回する旨を明らかにすることで内容を変更できると考えられます。複数の遺言が抵触する場合は後の遺言が優先するとされているため、書き換えの経緯が分かる形で保管しておくと安心です。

ワンポイントアドバイス: 内容の秘密性を重視するなら秘密証書遺言、確実性や検認不要のメリットを重視するなら公正証書遺言や自筆証書遺言書保管制度が選択肢になります。それぞれの方式のメリット・デメリットを踏まえた文案作成は行政書士がサポートできますので、迷った際はご相談ください。

まとめ

秘密証書遺言は、内容を明かさずに存在だけを公的に証明できる特徴的な方式ですが、証人2人の手配や検認手続きの手間は残ります。内容の秘密性と手続きの手間を比較し、自分に合った遺言の方式を選ぶことが大切です。

遺言書の方式選び・文案作成をサポートします

行政書士は遺言書の文案作成や方式選びのサポートを行うことができます。秘密証書遺言・公正証書遺言・自筆証書遺言、それぞれのメリット・デメリットを踏まえてご案内していますので、お気軽にご相談ください。

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