遺言でお世話になった団体に寄付できる?|遺贈寄付の仕組みと相続人への配慮

遺贈寄付の仕組みと相続人への配慮を解説する柏市の行政書士だいち法務事務所のアイキャッチ画像 相続 遺言 不動産
換価遺贈・遺留分への配慮・譲渡所得税の非課税特例を整理

「子どもがいないので、お世話になった団体に財産の一部を残したい」というご相談を受けることがあります。柏市の行政書士だいち法務事務所です。遺言によって特定の法人・団体へ財産を託す「遺贈寄付」という方法があるとされています。

この記事の結論

  • 遺贈寄付は、遺言により財産の全部または一部を特定の法人・団体へ無償で譲る方法とされ、割合を指定する「包括遺贈」と、特定の財産を指定する「特定遺贈」のいずれかを選べるとされています。
  • 遺留分を有する相続人がいる場合、遺贈寄付の内容によっては遺留分を侵害してしまい、相続開始と遺留分侵害を知った時から1年以内(相続開始から10年以内)に遺留分侵害額請求を受ける可能性があるとされています。
  • 不動産や株式など含み益のある財産を遺贈すると、遺言者の準確定申告でみなし譲渡所得税がかかり得るとされていますが、国等・一定の公益法人等への寄付で要件を満たし国税庁長官の承認を受けた場合には、この譲渡所得税が非課税となる特例(租税特別措置法40条)があるとされています。

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遺贈寄付の2つの方法と「換価遺贈」

遺贈寄付には、遺産の何分の一といった割合で指定する包括遺贈と、預貯金○○円・不動産○○番地といった具合に対象財産を特定する特定遺贈の2つの方法があるとされています。もっとも、寄付先の団体によっては、管理や売却の手間がかかる不動産そのものの受け取りには対応していない場合があるようです。そのため実務では、遺言執行者に不動産等を売却・現金化してもらったうえで、その代金を寄付先に渡す「換価遺贈」を指定するケースが多いとされています。寄付を検討する際は、生前のうちに希望する団体へ受け入れの可否や、財産の形(現金化後か現物のままか)について確認しておくと安心です。

相続人がいる場合は遺留分への配慮を

遺言者は自分の財産を自由に処分できるのが原則ですが、配偶者・子・直系尊属といった一定の相続人には、最低限の取り分として遺留分が保障されているとされています。遺贈寄付の金額や割合が大きく、他の相続人の遺留分を侵害する内容になっていると、寄付を受けた団体に対して相続人から遺留分侵害額請求がなされる可能性があるとされています。この請求権は、相続の開始と遺留分の侵害を知った時から1年、知らなくても相続開始から10年で時効消滅するとされ、期間が過ぎれば請求できなくなる一方、期間内であれば団体側が金銭で応じる必要が生じ得ます。トラブルを避けるためには、遺言作成前に遺留分の試算を行い、必要に応じて寄付額を調整したり、付言事項で寄付の理由を丁寧に伝えたりする配慮が望ましいと考えられています。

遺贈寄付にかかる税金の考え方

国や地方公共団体、一定の要件を満たす公益法人等へ財産を遺贈した場合、相続税の課税価格に算入されない特例が設けられているとされ、寄付先の団体によっては相続税の負担なく寄付を実現できる場合があります。一方で見落とされやすいのが、遺贈する側にかかる譲渡所得税です。値上がりした不動産や有価証券を遺贈すると、時価で譲渡したとみなされ、遺言者の準確定申告でみなし譲渡所得税が課税され得るとされています。ただし国等・一定の公益法人等への寄付で、租税特別措置法40条にもとづき国税庁長官の承認を受けた場合には、このみなし譲渡所得税が非課税になる特例が用意されているとされています。承認を受けるには申請手続きが必要となるため、高額な含み益のある財産を寄付する場合は、事前に税理士へ相談しておくことが望ましいとされています。

チェックリスト

  • ☐ 寄付したい団体が遺贈(特に不動産)の受け入れに対応しているか、生前に問い合わせている。
  • ☐ 他の相続人の遺留分を侵害しない範囲かどうか試算している。
  • ☐ 不動産等を遺贈する場合、現金化してから渡す「換価遺贈」も選択肢に入れている。
  • ☐ 譲渡所得税の非課税特例(措置法40条)の適用には承認申請が必要な点を把握している。

Q. 遺贈寄付は相続人の同意が必要ですか?

A. 遺言者が単独で作成する遺言による寄付のため、原則として相続人の同意は不要とされています。ただし遺留分を侵害する内容だと、後から遺留分侵害額請求を受ける可能性があるとされています。

Q. どんな団体でも遺贈を受け付けてもらえますか?

A. 団体によっては、不動産のように換金や管理に手間がかかる財産の遺贈を断るケースがあるとされているため、生前に受け入れ可否や希望する財産の形を確認しておくことが望ましいとされています。

ワンポイントアドバイス: 遺贈寄付を確実に実現するには、遺言執行者の指定が欠かせないとされています。相続人以外への遺贈は、遺言執行者がいないと相続人全員の協力を得て手続きを進める必要が生じ得るため、専門家を遺言執行者に指定しておくと、寄付先への引き渡しがスムーズになりやすいと考えられています。

まとめ

遺贈寄付は、お世話になった団体への想いを形にできる仕組みですが、相続人の遺留分への配慮や、みなし譲渡所得税・その非課税特例(措置法40条)といった税務上の論点も伴うとされています。想いを確実に実現するためにも、遺言作成の段階から専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

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