実家を賃貸に出したい…相続人全員の同意は必要?|共有物の管理行為としての賃貸借と期間の上限(民法252条・602条)

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共有物の管理行為としての賃貸借と期間の上限(民法252条・602条)

「遺産分割がまだ終わっていない実家を、空き家のままにせず賃貸に出したい。でも相続人全員の同意が必要なのか」というご相談をいただくことがあります。柏市の行政書士だいち法務事務所です。遺産分割前の不動産は相続人全員の共有状態にありますが、一定の期間内の賃貸借であれば、全員の同意ではなく持分の過半数の同意で決められる場合があるとされています(民法252条4項・602条)。どこまでが「管理行為」として認められるのか整理します。

この記事の結論

  • 共有物に賃借権などの使用収益を目的とする権利を設定する行為は、一定の期間内であれば「管理行為」にあたり、共有者全員の同意ではなく持分価格の過半数の同意で決められるとされています(民法252条4項)。
  • 管理行為として認められる期間の上限は、建物の賃貸借は3年、土地の賃貸借は5年、山林の賃貸借は10年とされ、これを超える長期の賃貸借は「変更行為」として原則、共有者全員の同意が必要になるとされています(民法602条を参照した期間設定)。
  • 実家が遺産分割前で共有状態にある場合も同様の考え方が適用されるとされ、持分の過半数を有する相続人の合意があれば、期間内の賃貸借契約を結べる可能性があるとされています。

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共有物の「管理行為」と「変更行為」の違い(おさらい)

共有物に関する行為は、保存行為(単独でできる)、管理行為(持分価格の過半数で決める)、変更行為(原則、共有者全員の同意が必要)の3つに分けて考えるとされています。空き家の大規模なリフォームや売却は変更行為にあたることが多い一方、賃貸借契約の締結は、期間や内容によって管理行為にとどまる場合と、変更行為に近いとされる場合があります。2023年施行の改正民法により、共有物に賃借権などの使用収益権を設定する行為のうち、一定の期間内のものは管理行為として扱われることが条文上明確にされたとされています(民法252条4項)。

管理行為として認められる賃貸借の期間はどこまでか

民法252条4項が定める「一定の期間」は、民法602条の短期賃貸借の期間と同じ基準が用いられるとされています。具体的には、山林の賃貸借は10年、山林以外の土地の賃貸借は5年、建物の賃貸借は3年、動産の賃貸借は6か月とされています。実家(建物)を賃貸に出す場合であれば、契約期間が3年以内であれば管理行為として持分の過半数の同意で足りると考えられますが、これを超える長期の賃貸借契約は変更行為に近づき、共有者全員の同意が必要になる可能性が高まるとされています。なお、借地借家法が適用される建物賃貸借では、更新拒絶に正当事由が必要になるなど賃借人保護が強く働くため、3年を超える契約や更新を重ねる契約を結ぶ場合は、事前に共有者全員の意向を確認しておくほうが無難といえます。

実務で気をつけたいポイント

遺産分割前の実家を貸し出す場合、持分の過半数さえあれば法律上は進められる場面でも、実際には少数派の相続人との関係が悪化し、その後の遺産分割協議に悪影響を及ぼすことも少なくありません。賃貸に出す前に、相続人間で賃料の分配方法(法定相続分に応じて分けるのが基本的な考え方とされています)や、修繕費用の負担についても話し合っておくことが望まれます。また、賃貸借契約書には、将来遺産分割が成立した場合の契約上の地位の引き継ぎ方についても触れておくと、後の混乱を防ぎやすくなります。

チェックリスト

  • ☐ 予定している賃貸借契約の期間が3年以内(建物の場合)かどうかを確認している。
  • ☐ 共有持分の過半数を有する相続人の同意を得ている。
  • ☐ 賃料の分配方法や修繕費用の負担について、相続人間で話し合っている。
  • ☐ 遺産分割が成立した後の契約上の地位の扱いを、契約書に盛り込んでいる。

Q. 賃料は誰がどのくらい受け取ることになりますか?

A. 遺産分割前に生じた賃料は、各相続人がその法定相続分に応じて確定的に取得するという考え方が判例上示されているとされています。共有者間であらかじめ配分方法を確認しておくと、後のトラブルを避けやすくなります。

Q. 反対する相続人が1人でもいたら、賃貸に出せませんか?

A. 期間内の賃貸借であれば、法律上は持分価格の過半数の同意があれば進められるとされています。ただし、少数派の相続人との関係悪化は避けたいところですので、可能な限り事前の話し合いで理解を得ておくことが望ましいと考えられます。

ワンポイントアドバイス: 空き家のまま放置すると、特定空家等に指定されるリスクや固定資産税の特例が外れるリスクもあります。賃貸に出すこと自体は有効な選択肢の一つですが、契約前に共有者全員で方針を共有しておくと、後々のトラブルを防ぎやすくなります。

まとめ

遺産分割前の実家であっても、建物であれば3年以内の賃貸借契約は管理行為として持分の過半数の同意で進められる場合があるとされています。もっとも、法律上できることと、相続人間の関係を良好に保つために望ましい進め方とは必ずしも一致しません。契約前に賃料の分配方法や今後の見通しについて、できるだけ相続人全員で共有しておくことをおすすめします。

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