相続した土地、登記簿では「畑」のままだった…このままで大丈夫?|地目変更登記の1か月ルールと農地転用(不動産登記法37条)

地目変更登記の1か月ルールと農地転用(不動産登記法37条)を解説する柏市の行政書士だいち法務事務所のアイキャッチ画像 相続 遺言 不動産
地目変更登記の1か月ルールと農地転用(不動産登記法37条)

「相続手続きのために実家の登記簿を取ったら、家が建っているのに地目が『畑』のままになっていた」というご相談をいただくことがあります。柏市の行政書士だいち法務事務所です。土地の地目が変わった場合は、変更があった日から1か月以内に地目変更登記を申請しなければならないとされています(不動産登記法37条)。さらに、登記上の地目が田や畑の場合は、農地法の手続きが済んでいるかどうかも確認が必要です。相続をきっかけに見つかりやすいこの問題について、対応の流れを整理します。

この記事の結論

  • 地目に変更があったときは、所有権の登記名義人等が変更の日から1か月以内に地目変更登記を申請しなければならないとされ、怠ると10万円以下の過料の対象になり得るとされています(不動産登記法37条・164条)。
  • 地目変更の後に相続で登記名義人になった場合も、所有権の登記をした日から1か月以内に申請する義務があるとされています(同法37条2項)。
  • 登記上の地目が田・畑の土地を宅地に変更するには、農地転用の許可・届出や、農業委員会による非農地の証明など、農地法上の手続きを確認することが前提になるとされています。

農地転用の許可・届出、相続手続きをサポートします

地目とは何か、なぜ現況とずれるのか

地目とは、土地の主な用途を表す登記上の区分で、宅地・田・畑・山林・雑種地など23種類が定められているとされています。地目は土地の現況と利用目的に応じて定められるものですが、畑を宅地にして家を建てても、登記は自動的には変わりません。所有者が地目変更登記を申請しない限り、登記簿は「畑」のまま残ります。親の代に家を建てた際に手続きが漏れていた、というケースは珍しくなく、相続登記の準備で登記簿を取り寄せた段階で初めて気づく方も多いといえます。

相続人にも申請義務がある「1か月ルール」

不動産登記法37条1項は、地目に変更があったときは、所有権の登記名義人等がその変更の日から1か月以内に地目変更登記を申請しなければならないと定めているとされています。同条2項では、地目の変更があった後に所有権の登記名義人となった方についても、所有権の登記があった日から1か月以内に申請する義務があるとされています。つまり、「親の代に家を建てていた土地」を相続して相続登記をした場合、相続人がその後1か月以内に地目変更登記を申請すべき立場になると考えられます。

申請を怠った場合は10万円以下の過料の対象になり得るとされていますが、それ以上に困るのは実務面です。登記上の地目が農地のままだと、売却や住宅ローンを利用した建て替えの際に、買主や金融機関から手続きを求められて話が止まってしまうことがあります。なお、地目変更登記そのものには登録免許税はかからないとされています。

農地の場合は農地法の手続きを先に確認

登記上の地目が田・畑の土地を宅地に変更する場合、法務局では農地法の手続きが済んでいるかどうかを確認する取扱いとされています。本来、農地を宅地に転用するには、農地法に基づく都道府県知事等の許可、または市街化区域内であれば農業委員会への届出が必要です。許可書や届出の受理通知書が見つかれば、それを添付して地目変更登記を進められる場合があります。

一方、過去に手続きをしないまま家が建てられ、長期間にわたり農地として使われていない土地については、農業委員会に相談し、非農地であることの証明(非農地証明)を受けられるかどうかを確認することが考えられます。取扱いは市町村の農業委員会ごとに異なるため、まずは柏市など所在地の農業委員会に、手続きの要否や必要書類を問い合わせることをおすすめします。

チェックリスト

  • ☐ 相続する土地の登記事項証明書を取り寄せ、地目欄を確認している。
  • ☐ 登記上の地目と、現在の土地の使い方(家が建っている等)が一致しているか確認している。
  • ☐ 地目が田・畑の場合、過去の農地転用の許可書または届出の受理通知書が残っていないか探している。
  • ☐ 書類が見つからない場合、所在地の農業委員会に非農地証明などの取扱いを問い合わせている。
  • ☐ 相続登記の後、1か月以内に地目変更登記を申請する段取りを立てている。

Q. 固定資産税も「畑」として安く計算されているのですか?

A. 固定資産税は、原則として登記上の地目ではなく、土地の現況に基づいて評価されるとされています。家が建っていれば宅地として課税されていることが一般的ですので、課税明細書の地目欄とあわせて確認してみてください。

Q. 地目変更登記は誰に頼めばよいですか?

A. 地目変更登記は土地の表示に関する登記であり、申請の代理は土地家屋調査士の業務とされています。その前提となる農地転用の許可申請・届出の書類作成は、行政書士がお手伝いできる分野です。

ワンポイントアドバイス: 地目のずれは、売却や建て替えの直前に発覚すると、スケジュールが大きく遅れる原因になります。相続登記の準備で登記簿を取り寄せたタイミングで、地目欄もあわせて確認しておくと安心です。

まとめ

相続した土地の地目が現況と異なっている場合、相続人にも1か月以内に地目変更登記を申請する義務があるとされています。登記上の地目が田・畑であれば、農地転用の許可・届出や非農地証明など、農地法上の手続きの確認が前提になります。売却や建て替えで慌てないよう、相続の段階で登記簿と現況を照らし合わせておくことをおすすめします。

農地転用の許可・届出、相続手続きのご相談はお気軽にどうぞ

行政書士は、農地転用の許可申請・届出の書類作成や、相続人調査・遺産分割協議書の作成支援を承っております。なお、地目変更登記は土地家屋調査士の業務、相続登記(名義変更)は司法書士の業務となるため、必要に応じて適切な専門家をご案内いたします。

参考URL

関連記事

  • 実家の畑や田んぼも相続した…そのまま名義変更できる?|農地の相続と農業委員会への届出
  • 実家の建物が未登記だった…相続登記はできる?|表題登記と未登記建物特有の手続き
  • 相続した空き家を解体した…登記はこのままでいい?|建物滅失登記は1か月以内(不動産登記法57条)、期限を過ぎると過料も

コメント