実家の権利証が見つからない…相続登記や売却はできる?|登記識別情報がない場合の事前通知制度と本人確認情報(不動産登記法23条)

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登記識別情報がない場合の事前通知制度と本人確認情報(不動産登記法23条)

「父が亡くなって実家の名義を変えたいのですが、家じゅう探しても権利証が出てきません。このままでは手続きができないのでしょうか」というご相談は、相続の場面で非常に多く寄せられます。柏市の行政書士だいち法務事務所です。先に結論をお伝えすると、相続による名義変更(相続登記)には、亡くなった方の権利証は原則として必要ないとされています。権利証が問題になるのは、主にその後、不動産を売ったり贈与したりする場面です。

この記事の結論

  • 相続登記は、戸籍謄本や遺産分割協議書などで相続の事実を証明して申請するため、亡くなった方の権利証(登記済証・登記識別情報)がなくても原則として手続きできるとされています。
  • 権利証や登記識別情報は、紛失しても再発行されません。ただし、なくしたからといって所有権を失うわけではありません。
  • 相続後に自分名義の登記識別情報をなくした状態で売却する場合は、事前通知制度、司法書士などによる本人確認情報、公証人の認証のいずれかで登記できるとされています(不動産登記法23条)。

相続した不動産の手続き、何から始めるかをご案内します

「権利証」と「登記識別情報」は何が違うのか

一般に権利証と呼ばれているものには、2種類あります。古くからあるのが、登記が済んだ申請書に法務局の赤い印が押された「登記済証」です。現在の不動産登記法が施行された平成17年以降は、各法務局で順次、12桁の英数字による「登記識別情報」に切り替えられました。目隠しシールや折り込みで隠された通知書の形で交付されるものがそれにあたります。

どちらも、登記名義人本人であることを確認するための資料という役割は同じです。古い登記済証も、新しい方式に切り替わった後も引き続き有効とされています。昭和の時代に建てた実家であれば、和紙の表紙がついた冊子の形で保管されていることが多いでしょう。

相続登記で権利証がいらない理由

売買や贈与の登記は、財産を手放す側(売主など)と受け取る側が共同で申請します。権利証は、手放す側が「本当に名義人本人である」ことを示すために提出するものです。

これに対して相続登記は、名義人がすでに亡くなっており、相続人が単独で申請します。相続があったことは戸籍謄本や遺産分割協議書、印鑑証明書などで証明するため、権利証を添付する場面がそもそもないというわけです。

ただ、権利証がまったく役に立たないわけではありません。登記簿上の住所と亡くなった方の最後の住所がつながらないときに、同一人物であることを補う資料として使われる場合があります。相続人以外の方への遺贈を登記する場合のように、共同申請となる手続きでは提出を求められることもあります。見つかった場合は捨てずに保管しておきましょう。

自分名義の登記識別情報をなくした場合の3つの方法

相続登記が終わると、新しい名義人である相続人あてに登記識別情報が通知されます。将来この不動産を売るときに必要になるのは、こちらです。もし紛失してしまっても再発行はされませんが、不動産登記法23条により、代わりの方法が3つ用意されています。

1つ目は「事前通知制度」です。登記識別情報を付けずに申請すると、法務局から名義人あてに本人限定受取郵便などで通知が届きます。通知の発送から原則2週間以内に「間違いなく自分が申請した」と申し出れば、登記が進む仕組みとされています。費用がかからない反面、申出があるまで登記が完了しないため、代金の支払いと同時に名義を移す通常の売買では使いにくいと言われています。

2つ目は、登記申請を代理する司法書士などの資格者が本人と面談し、「本人確認情報」という書面を作成して提出する方法です。売買の場面ではこの方法が多く使われているようです。別途の報酬がかかり、金額は事務所によって異なります。

3つ目として、公証役場で公証人に本人であることの認証を受ける方法もあります。いずれを選ぶかは、取引の相手方や日程によって変わってきます。

なお、権利証を誰かに持ち出された心配があるときは、法務局に「不正登記防止申出」をしておく方法があります。登記識別情報そのものを失効させる申出の制度も設けられています。

チェックリスト

  • ☐ 仏壇・金庫・タンスのほか、銀行の貸金庫も探した。
  • ☐ 住宅ローンを借りていた金融機関に預けたままになっていないか確かめた。
  • ☐ 登記事項証明書を取り寄せ、現在の名義人と住所を把握している。
  • ☐ 相続登記後に届く登記識別情報の保管場所を、家族で共有する予定にしている。
  • ☐ 盗難の心配がある場合、法務局への申出を検討した。

Q. 権利証を拾った人や持ち出した人に、勝手に名義を変えられてしまいませんか?

A. 売買などの登記には、権利証のほかに名義人の実印と印鑑証明書も必要とされています。権利証だけで名義が移ることは通常考えにくいでしょう。とはいえ不安が残る場合は、法務局の不正登記防止申出などの制度を利用できます。

Q. 相続登記をしたのに、登記識別情報が届いていない相続人がいます。なぜですか?

A. 登記識別情報は、登記の申請人となった名義人に通知されるものとされています。たとえば共有名義にする登記を相続人の一人だけで申請した場合、申請に加わらなかった方には通知されないことがあります。後の売却で手間が増えるため、共有にするときは全員で申請する形が望ましいと考えられます。

ワンポイントアドバイス: 登記識別情報の目隠しシールは、売却などで実際に使うときまで剥がさないのが基本です。12桁の符号を見られると、書面を盗まれたのと同じ状態になりかねません。通知書は開封せず、実印や印鑑カードとは別の場所に保管しておきましょう。

まとめ

亡くなった方の権利証が見つからなくても、相続登記は原則として進められるとされています。探し続けて時間を使うより、戸籍の収集や遺産分割協議を先に進めるほうが、3年以内という相続登記の期限にも間に合わせやすくなります。相続後に受け取る登記識別情報は再発行されないため、今度はなくさない工夫が大切です。万一紛失しても、事前通知制度や本人確認情報といった方法が用意されています。

相続した不動産のご相談はお気軽にどうぞ

行政書士は、相続人調査(戸籍収集)や財産目録・遺産分割協議書の作成支援を承っております。なお、相続登記などの登記申請および本人確認情報の作成は司法書士の業務となるため、必要に応じて適切な専門家をご案内いたします。

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