相続した実家が安くしか売れない…仲介手数料はいくら?|800万円以下の空き家等の媒介報酬特例(上限33万円)と注意点

相続した実家を低い価格で売る場合の仲介手数料と800万円以下の空き家等の媒介報酬特例を解説する柏市の行政書士だいち法務事務所のアイキャッチ画像 相続 遺言 不動産
売買価格800万円以下の物件は、事前の説明と合意があれば仲介手数料が最大33万円(税込)になることがある

「親から相続した築50年の家、査定してもらったら500万円ほどでした。不動産会社から仲介手数料は33万円と言われたのですが、計算が合わない気がします」。そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。実は2024年7月から、売買価格が800万円以下の不動産については、仲介手数料(媒介報酬)の上限が通常より高くなる特例が設けられています。今回は、通常の計算方法と特例の仕組み、売却を依頼する前に確認しておきたいポイントを整理します。

この記事の結論

  • 仲介手数料には法令上の上限があり、売買価格400万円超の部分は「価格×3%+6万円+消費税」で計算するのが一般的です。たとえば500万円の物件なら、通常の上限は23万1,000円(税込)となります。
  • 2024年7月1日以降、売買価格800万円以下の宅地・建物については、不動産会社が事前に説明して合意を得れば、30万円の1.1倍(33万円・税込)まで受け取れる特例が設けられたとされています。空き家に限らず対象になる点に注意が必要です。
  • 33万円はあくまで上限であり、必ずその額になるわけではありません。媒介契約を結ぶ前に、報酬額とその根拠、ほかにかかる費用を確認し、納得したうえで依頼することが大切です。

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まず知っておきたい、仲介手数料の通常の上限

不動産会社(宅地建物取引業者)が受け取れる仲介手数料は、宅地建物取引業法にもとづく国土交通大臣の告示で上限が定められています。売買の場合、売買価格(税抜)を三つの区分に分け、200万円以下の部分は5%、200万円超400万円以下の部分は4%、400万円を超える部分は3%として合計し、そこに消費税を加えるのが基本の計算方法です。

400万円を超える物件では、この計算をまとめた「売買価格×3%+6万円」という速算式がよく使われます。いくつか例を挙げると、次のようになります(いずれも税込の上限額)。

  • 売買価格300万円の場合:(300万円×4%+2万円)×1.1=15万4,000円
  • 売買価格500万円の場合:(500万円×3%+6万円)×1.1=23万1,000円
  • 売買価格700万円の場合:(700万円×3%+6万円)×1.1=29万7,000円

このように、価格の低い物件ほど仲介手数料も少なくなります。一方で、古い家や郊外の土地は、現地の調査や権利関係の確認、買い手探しに手間がかかることも少なくありません。手数料に見合わないとして、不動産会社が取扱いに消極的になりやすいことが、空き家の流通が進まない一因と指摘されてきました。

2024年7月からの「低廉な空家等」の特例とは

こうした状況を受けて、国土交通省は報酬に関する告示を改正し、2024年7月1日から施行しました。改正後は、売買価格が800万円以下の宅地・建物について、通常の計算による上限を超えて、30万円の1.1倍(33万円・税込)まで報酬を受け取れる特例が設けられたとされています。改正前は対象が400万円以下、上限が18万円の1.1倍(19万8,000円)だったため、対象・金額ともに広がったことになります。

名称は「低廉な空家等」ですが、空き家に限らず、価格が800万円以下であれば土地や住んでいる家も対象になると解説されています。また、改正前は売主側からのみ受け取れる扱いでしたが、改正後は買主側からも受け取れるようになったとされています。特例を使う場合、不動産会社は媒介契約を結ぶ際に、あらかじめ報酬額を依頼者に説明し、合意を得る必要があるとされています。

あわせて、賃貸についても特例が新設されました。長期間使われていない空き家等を貸す場合、貸主から受け取れる報酬の上限が、通常の借賃1か月分の1.1倍から、2.2倍までに引き上げられたとされています。相続した実家を「売らずに貸す」選択肢を考えている方も、頭に入れておくとよいでしょう。

売却を依頼する前に確認したいポイント

特例の上限は、不動産会社が受け取れる「最大額」です。冒頭の例のように500万円の物件で33万円を提示された場合、通常の上限23万1,000円との差額が特例によるものかどうかを確認し、説明に納得できなければ遠慮なく質問しましょう。媒介契約書には報酬額が記載されるため、署名前に必ず目を通すことが大切です。

次に、仲介手数料以外にかかる費用も整理しておきたいところです。古い実家の売却では、境界の確定や測量、建物の解体、家財の処分などの費用が別途かかることがあります。どこまでを売主が負担するのかによって、手元に残る金額は大きく変わります。

税金面も見落とせません。相続した空き家を一定の要件のもとで売った場合の「空き家の3,000万円特別控除」や、相続税を納めた方が使える「取得費加算の特例」など、売却益にかかる税金を軽くできる制度があります。適用の可否は要件によって異なるため、売却の前に税理士へ確認しておくと安心です。柏市を含む千葉県内でも、郊外の古い家ほど価格が伸びにくい傾向があるといわれており、売り出す前の準備が結果を左右します。

チェックリスト

  • ☐ 実家の名義が相続人に変わっている(相続登記が済んでいる)か確認した。
  • ☐ 複数の不動産会社に査定を依頼し、売り出し価格の目安を比べた。
  • ☐ 提示された仲介手数料が、通常の計算か特例によるものかを把握している。
  • ☐ 媒介契約書の報酬額の欄を、署名する前に読んだ。
  • ☐ 測量・解体・家財処分など、仲介手数料以外の費用を見積もった。
  • ☐ 空き家の3,000万円特別控除などの税制が使えるか、税理士に相談する予定を立てた。

Q. 特例による33万円は、断ることはできますか?

A. 特例は、不動産会社が事前に説明し、依頼者が合意した場合に適用されるとされています。説明に納得できなければ、合意しない、または報酬額を交渉する余地があると考えられます。ただし、その場合に取扱いを断られることもあり得るため、複数の会社の条件を比べてみるとよいでしょう。

Q. 売買価格が800万円をわずかに超える場合はどうなりますか?

A. 特例の対象は売買価格(税抜)800万円以下とされているため、それを超える場合は通常の計算による上限が適用されると考えられます。たとえば900万円の物件なら、(900万円×3%+6万円)×1.1=36万3,000円が上限の目安です。

Q. 相続人が複数いる場合、仲介手数料は誰が払うのですか?

A. 相続人全員の共有名義で売る場合は、売主である相続人全員が依頼者となり、売却代金から仲介手数料などの費用を差し引いて分けるのが一般的です。誰がどの割合で負担するかは、遺産分割協議書に換価分割として明記しておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。

ワンポイントアドバイス: 安くしか売れない実家ほど、「誰に、どんな条件で頼むか」で手取り額や売れるまでの期間が変わります。当相談室では、不動産の売買・仲介・賃貸管理の経験を踏まえ、特定の不動産会社に偏らない中立の立場で、売却・賃貸・持ち続けるといった選択肢の整理をお手伝いしています。不動産会社に相談する前の「下準備」として、お気軽にご利用ください。

まとめ

相続した実家を800万円以下で売る場合、2024年7月からの特例により、仲介手数料が最大33万円(税込)になることがあります。通常の計算(400万円超なら価格×3%+6万円+消費税)より高くなる場合があるため、媒介契約の前に報酬額の説明を受け、納得したうえで依頼することが大切です。仲介手数料以外の費用や税金の特例もあわせて確認し、手元にいくら残るのかを見通したうえで売却を進めましょう。

相続した実家の売却前の準備、柏市の相談室でご一緒に整理します

行政書士は、相続人の調査(戸籍収集)、相続財産の調査のサポート、遺産分割協議書(換価分割の条項を含む)の作成、官公署に提出する書類の作成などを承っております。なお、不動産の売買の仲介は宅地建物取引業者、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士、相続人間の交渉は弁護士、譲渡所得の申告は税理士の業務となるため、必要に応じて適切な専門家をご案内いたします。

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