実家の遺品整理、いつ・誰の同意で始めればいい?|相続人全員の合意と相続放棄を考えている場合の注意点

実家の遺品整理を始める時期と相続人全員の合意、相続放棄を考えている場合の単純承認の注意点、業者選びのポイントを解説する柏市の行政書士だいち法務事務所のアイキャッチ画像 相続 遺言 不動産
遺品は遺産分割までは相続人全員の共有とされるため、価値のある物の処分は全員で合意し、相続放棄を考えているなら処分を控えることが大切です

こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。親が亡くなり、誰も住まなくなった実家を片付けようと思ったとき、「いつから始めていいのか」「兄弟に断らずに進めていいのか」と迷う方は少なくありません。四十九日を区切りにする家庭が多い一方で、賃貸の明け渡しや空き家の管理の都合で、早く片付けたい事情もあるものです。(参考例)長女が善意で実家の家具や着物をまとめて処分したところ、後から弟に「形見に欲しい物があった」「着物には価値があったのでは」と言われ、関係がぎくしゃくしてしまった、というお話は珍しくありません。今回は、遺品整理を始める前に押さえておきたい法律上のポイントを整理します。

この記事の結論

  • 遺品整理を始める時期に法律上の決まりはないとされていますが、遺品は遺産分割が終わるまで相続人全員の共有財産と考えられるため、価値のある物を処分する前には相続人全員の合意を取っておくのが安心です。
  • 相続放棄を考えている場合、財産的な価値のある遺品を処分したり持ち帰ったりすると、相続を承認したとみなされ(法定単純承認)、放棄できなくなるおそれがあります。
  • 片付けの前に、遺言書・通帳・権利証などの重要書類を探し出しておくことが大切です。業者に頼む場合は、ごみの収集運搬に必要な許可の有無も確認しましょう。

実家の片付けと相続手続き、どちらから進めるか一緒に整理します

遺品整理は「いつ」始めてもいい?

遺品整理をいつ始めるかについて、法律で決められた時期はないとされています。四十九日の法要で親族が集まる機会に形見分けを話し合う家庭も多く、気持ちの整理という意味でも一つの目安になります。

もっとも、急いだほうがよい場面もあります。親が借りていたアパートは、退去するまで家賃がかかり続けることがあります。空き家になった実家は、生ものや冷蔵庫の中身を放置すると傷みや害虫の原因になり、近隣への配慮も必要です。こうした「傷む物の処分」や「建物を傷めないための手入れ」は、財産の現状を保つための行為(保存行為)として、相続人の一人でも行えると考えられています。

反対に、相続放棄を検討しているなら、片付けは慎重に進める必要があります。相続放棄は、自分が相続人になったことを知った時から原則3か月以内に家庭裁判所へ申述するとされています。財産の全体像がつかめないうちに遺品を処分してしまうと、後で選択肢が狭まるおそれがあるため、方針を決めるまでは大きな処分を控えるのが無難です。

「誰の同意」が必要?相続人全員の合意が基本

亡くなった方の家財道具や貴金属、骨董品、着物なども、法律上は相続財産です。相続人が複数いる場合、遺産分割が終わるまでは相続人全員の共有に属するとされています(民法898条)。そのため、一人の判断で価値のある物を処分したり、売却したりすると、他の相続人とのトラブルになりかねません。

実際の進め方としては、次のような段取りが考えられます。

  • 相続人全員で日程を決め、立ち会える人は立ち会う(難しい人には写真や動画で共有する)
  • 残す物・形見分けする物・売却を検討する物・処分する物に分類する
  • 処分の範囲や費用の分担を、メッセージや書面など記録に残る形で合意しておく

価値が高そうな美術品や貴金属が見つかったときは、その場で処分せず、査定を受けてから遺産分割の対象に含めるかを話し合うと公平です。相続税の申告が必要な家庭では、家財や貴金属も申告の対象になるとされているため、財産として記録しておく意味もあります。

相続放棄を考えているなら「処分しない・持ち帰らない」

相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなされるとされています(民法921条1号)。単純承認とみなされると、原則として相続放棄はできなくなり、借金などのマイナスの財産も引き継ぐことになります。

どこまでが「処分」にあたるかは個別の事情で判断されますが、一般的には、経済的価値のほとんどない写真や手紙、日用品を形見として受け取る程度であれば、直ちに処分にはあたらないと考えられています。一方で、高価な貴金属や美術品、まとまった量の衣類などを持ち帰ったり売却したりすると、処分と判断されるおそれがあります。なお、相続放棄をした後でも、実家を現に占有している場合には、次の管理者に引き渡すまで財産を保存する義務が残るとされています(民法940条)。判断に迷うときは、手を付ける前に弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。

片付けの前に探しておきたい物と、業者選びのポイント

遺品整理の途中で捨ててしまうと取り返しがつかないのが、遺言書や重要書類です。片付けを始める前に、次のような物を優先して探しておきましょう。

  • 遺言書(自宅の金庫・仏壇・机の引き出しなど)
  • 預貯金の通帳・キャッシュカード、証券会社からの郵便物
  • 不動産の権利証(登記識別情報)、固定資産税の納税通知書
  • 保険証券、借入れやローンの契約書、年金関係の書類

業者に依頼する場合は、見積もりの内容とあわせて、ごみの扱いを確認しておくことが大切です。家庭から出る不用品を有償で運ぶには、市町村の一般廃棄物収集運搬業の許可が必要とされており、遺品整理業者自身がこの許可を持っていないことも少なくありません。その場合は、許可業者と連携しているかを確認しましょう。柏市内の扱いや、粗大ごみとして自分で出す方法については、市の清掃関係の窓口で確認しておくと安心です。

チェックリスト

  • ☐ 相続人が誰かを確認し、全員に遺品整理を始めることを伝えた。
  • ☐ 相続放棄をする可能性があるかどうかを、相続人それぞれに確かめた。
  • ☐ 片付けの前に、遺言書・通帳・権利証などの重要書類を探した。
  • ☐ 価値がありそうな物は処分せず、写真に撮って記録している。
  • ☐ 処分の範囲と費用の分担について、記録に残る形で合意を取った。
  • ☐ 依頼する業者が許可業者と連携しているか、見積もり時に確認した。

Q. 形見分けで親の腕時計をもらったら、相続放棄はできなくなりますか?

A. 経済的価値の低い物であれば、直ちに単純承認にはあたらないと考えられています。ただし、高級腕時計のように市場価値のある物は処分と判断されるおそれがあるため、相続放棄を考えている場合は受け取りを控え、専門家に相談するのが安全です。

Q. 遠方に住む兄弟が片付けに来られません。進めてもいいですか?

A. 立ち会えない相続人がいても、事前に処分の範囲を伝えて同意を得ておけば、進めること自体は可能と考えられます。後で「聞いていない」とならないよう、写真やメッセージで経過を共有し、やり取りを残しておくと安心です。

Q. 遺品整理の費用は、誰が負担するのですか?

A. 法律で負担者が決まっているわけではないため、相続人の間で話し合って決めるのが一般的です。遺産の中から支払う、法定相続分で分担する、実家を取得する人が負担するなどの方法があり、決めた内容は遺産分割協議書に書いておくとトラブルを防ぎやすくなります。

ワンポイントアドバイス: 実家を売却する予定がある場合、家財が残ったままだと内覧や査定が進めにくいことがあります。一方で、片付けを急いで重要書類まで捨ててしまっては本末転倒です。不動産の売買や賃貸管理に携わってきた経験を持つ相談室として、片付けと売却・相続手続きの順番づくりからお手伝いします。

まとめ

実家の遺品整理を始める時期に法律上の決まりはないとされていますが、遺品は遺産分割が終わるまで相続人全員の共有財産と考えられるため、価値のある物を処分する前には全員の合意を取っておくことが大切です。相続放棄を考えている場合は、財産的価値のある物を処分・持ち帰りしないよう特に注意しましょう。片付けの前に重要書類を探し、業者に頼むなら許可の有無も確認して、家族が納得できる形で進めていきましょう。

遺品整理の前の「何から手を付けるか」、柏市の相談室にご相談ください

行政書士は、相続人の調査(戸籍収集)、相続財産の調査のサポート、遺産分割協議書の作成などを承っております。なお、相続放棄の申述書作成・家庭裁判所での手続きは司法書士・弁護士、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士、相続税の申告は税理士、相続人間の交渉・訴訟は弁護士の業務となるため、必要に応じて適切な専門家をご案内いたします。

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