遺言書があっても、その通りに分けなくてもいい?|相続人全員の合意で遺言と異なる遺産分割ができるケース

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相続人全員の合意・受遺者の同意・遺言執行者の同意が必要

こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。

ご相談の中には、「父の遺言書には『長男に自宅を相続させる』と書かれているが、長男は既に持ち家があり困っている。きょうだいで話し合って、別の分け方にできないだろうか」といったものがあります。遺言書があると、その内容を絶対に守らなければならないと思い込み、家族の実情に合わない分け方のまま手続きを進めてしまうケースも見られます。

この記事の結論

  • 相続人全員が合意すれば、遺言書と異なる内容の遺産分割をすることも可能とされています。
  • 相続人以外の受遺者がいる場合は、その受遺者の同意も必要になります。
  • 遺言執行者がいる場合は、遺言執行者の同意も欠かせません。

遺言と実情が合わないとお感じなら、一度ご相談ください

遺言書は「絶対」ではなく、相続人の意思が優先される場面がある

遺言書は遺言者の最終的な意思表示であり、本来はその内容どおりに実現されることが望ましいものです。しかし実務上は、相続人全員が「遺言とは違う分け方にしたい」と合意した場合、その合意にもとづく遺産分割協議が有効と扱われることが多いとされています。

これは、遺産分割の当事者である相続人全員が納得しているのであれば、遺言者自身もそのような柔軟な対応を望んでいるだろうという考え方にもとづくものと理解されています。遺言はあくまで相続人間の利害を調整するための一つの指針であり、相続人全員の意思が一致すれば、それに沿った分け方に変更できる余地がある、というイメージを持っておくとよいでしょう。

ただし、この取り扱いには重要な条件がいくつかあります。次の見出しで、実務上とくに注意が必要な2つの条件を確認していきます。

条件1:受遺者がいる場合は、その受遺者の同意が必要

遺言書の中に、相続人以外の人物や団体への遺贈が記載されているケースがあります。この場合、相続人全員が合意しただけでは足りず、遺贈を受ける受遺者本人が遺贈を放棄しない限り、遺言と異なる遺産分割はできないと考えられています。

受遺者は遺言者の死亡後、いつでも遺贈を放棄することができるとされていますが(民法986条)、放棄の意思表示がないまま相続人だけで話し合いを進めてしまうと、後になって受遺者から遺贈の履行を求められるおそれがあります。遺言書の内容を確認する際は、相続人以外の受遺者が記載されていないかを最初に確認しておくことが欠かせません。

条件2:遺言執行者がいる場合は、その同意が必要

遺言書で遺言執行者が指定されている場合、遺言執行者には遺言内容を実現する職務権限があります。相続人全員が遺言と異なる分割に合意していても、遺言執行者の同意を得ないまま手続きを進めると、後にトラブルの原因になりかねません。

また、遺言書に「〇年間は遺産分割を禁止する」といった条項が付されている場合は、その期間中は遺産分割協議そのものができない点にも注意が必要とされています。遺言執行者が指定されているかどうか、分割禁止の条項がないかどうかは、遺言書全体を丁寧に読み込んで確認する必要があります。

チェックリスト

  • ☐ 相続人全員が遺言と異なる分け方に合意している
  • ☐ 遺言書に相続人以外への遺贈の記載がないか確認した
  • ☐ 遺贈がある場合、受遺者本人の同意(または遺贈放棄)を得ている
  • ☐ 遺言執行者が指定されているかどうかを把握している
  • ☐ 遺産分割を禁止する条項が付いていないか確認している

Q. 一部の相続人だけが反対している場合でも、遺言と異なる分割はできますか?

A. できないと考えられています。遺言と異なる遺産分割には相続人全員の合意が前提になるため、一人でも反対する相続人がいる場合は、遺言書どおりの内容で手続きを進めるのが原則です。

Q. 「相続させる」と書かれた特定の不動産についても、分割方法を変更できますか?

A. 相続人全員の合意があれば変更できる場合が多いとされています。もっとも、遺言の文言や趣旨によって判断が分かれることもあるため、個別の遺言書の記載内容を踏まえて検討する必要があります。

Q. 遺言執行者が就任している場合、遺言執行者に相談すればよいですか?

A. まず遺言執行者に事情を伝え、同意を得られるかどうかを確認する必要があると考えられます。遺言執行者の職務は遺言内容の実現にあるため、相続人だけの判断で先に進めることは避けるべきとされています。

ワンポイントアドバイス: 遺言と異なる分け方に合意できたとしても、口約束のままにせず、あらためて遺産分割協議書を作成しておくことをおすすめします。合意内容を書面に残しておくことで、後日の「言った・言わない」のトラブルや、不動産の名義変更・預貯金の解約手続きの際の証明資料として役立ちます。

まとめ

遺言書があっても、相続人全員が合意すれば異なる内容の遺産分割ができる場合があるとされています。ただし相続人以外の受遺者がいる場合はその同意、遺言執行者がいる場合はその同意がそれぞれ必要になる点は見落とされがちです。遺言書の内容と家族の実情にずれを感じたときは、自己判断で話を進める前に、遺言書全体の記載を確認しておくことが安心につながります。

遺言書の内容確認から遺産分割協議書の作成まで、まとめてご相談ください

当相談室は行政書士事務所のため、遺産分割協議書の作成はお手伝いできますが、相続人間で意見がまとまらない場合の代理交渉は弁護士のご紹介、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士のご紹介という形でサポートいたします。松戸市・柏市・流山市・我孫子市・千葉県全域で対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

参考URL

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