こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。
「長年一緒に暮らしてきたパートナーだけれど、籍は入れていない」というご家族の形は、近年珍しくないとされています。もしものとき、この内縁のパートナーは財産を受け取れるのだろうか、と不安に感じる方もいらっしゃるようです。「長年連れ添ったのに、何も残せないのではないか」というお気持ちを抱える方は少なくないと考えられます。
この記事の結論
- 内縁の夫・妻には、法律上の相続権は認められないとされています
- 相続人が誰もいない場合に限り、特別縁故者として財産を受け取れる可能性があります
- 確実に財産を残したい場合は、生前に遺言書を用意しておくことが有効と考えられます
大切な方へ財産を残す方法、一緒に整理しませんか
なぜ内縁の夫・妻は相続人になれないのか
民法上、相続人になれるのは配偶者(法律上の婚姻関係にある者)と、子・親・兄弟姉妹などの血族に限られるとされています。婚姻届を出していない内縁関係は、実質的な夫婦であっても法律上の「配偶者」には含まれないため、そのままでは相続権が発生しないと考えられます。長年一緒に暮らし、生活を支え合ってきた関係であっても、この点は変わらないとされています。
同じ理由で、相続税の配偶者控除や、遺族年金の一部の優遇措置なども、原則として内縁関係には適用されないとされています。パートナーに財産を残したいと考える場合は、何らかの対策を生前にとっておく必要があると言えそうです。
相続人が誰もいない場合の「特別縁故者」制度
亡くなった方に相続人が一人もいない場合に限り、家庭裁判所への申立てにより、内縁の配偶者などが「特別縁故者」として遺産の全部または一部の分与を受けられる可能性があるとされています(民法958条の2)。特別縁故者として認められ得る例としては、亡くなった方と生計を共にしていた内縁の配偶者や、献身的に療養看護にあたった方などが挙げられているようです。
ただし、この制度が使えるのはあくまで「相続人が一人もいない」ケースに限られるとされています。子や親、兄弟姉妹など法定相続人が一人でもいれば、その方が優先して相続することになり、特別縁故者の出番はないと考えられます。また、申立てには家庭裁判所での相続人捜索の公告手続きを経る必要があり、公告期間満了後3か月以内という期限(除斥期間)が設けられているとされているため、手続きには一定の時間がかかる点にも注意が必要です。
確実に財産を残したいなら、生前の対策が現実的
特別縁故者制度は、あくまで相続人が誰もいない場合の例外的な救済措置であり、確実に財産を残す手段としては心もとない面があると考えられます。内縁のパートナーに財産を残したい場合は、遺言書によって「遺贈する」旨を明記しておく方法が現実的とされています。遺言書があれば、たとえ他に法定相続人がいたとしても、遺留分を侵害しない範囲で内縁のパートナーへ財産を遺すことができると考えられます。
あわせて、生命保険の受取人に指定する、生前贈与を活用する、といった方法を組み合わせることも一般的とされています。どの方法が適しているかは、ご家族の状況や財産の内容によって異なるため、早めに整理しておくことが望ましいと言えそうです。
チェックリスト
- ☐ 内縁のパートナーには法律上の相続権がないことを把握している
- ☐ 自分に法定相続人がいるかどうかを確認したことがある
- ☐ パートナーへ財産を残す方法(遺言書・生命保険等)を検討したことがある
- ☐ 遺留分を侵害しない配分になっているか意識している
よくある質問
Q. 内縁のパートナーとの間に子どもがいる場合、その子どもは相続人になれますか?
A. 認知された子であれば、法律上の子として相続人になれると考えられます。認知の有無によって扱いが変わるため、あわせて確認しておくとよいとされています。
Q. 遺言書があれば、内縁のパートナーは相続税の申告も自分でできますか?
A. 遺贈を受けた場合の相続税申告は税理士の専門分野となります。あわせて、内縁関係の場合は相続税額が2割加算される、配偶者控除が使えないなど、法律上の配偶者とは異なる扱いがされる点にも注意が必要とされています。
ワンポイントアドバイス: 「まだ元気だから」と先延ばしにせず、パートナーとの関係を法的にどう保護できるかを一度整理しておくことをおすすめします。相続税の試算や申告は税理士、将来の紛争予防に関わる複雑な調整は弁護士が専門となる場面もあるため、状況に応じて連携先をご紹介いたします。
ここまでが一般的な制度の全体像です。ただし実務では、財産の内容や他のご親族との関係によって最適な対策が変わってくるとされています。この段階でのご相談でも構いませんので、お気軽にお声がけください。
まとめ
内縁の夫・妻には法律上の相続権が認められておらず、相続人が誰もいない場合の特別縁故者制度も、確実な手段とは言い切れないと考えられます。大切なパートナーへ財産を残したいという思いは、遺言書などの生前対策によって形にしておくことが現実的な選択肢と言えそうです。
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