相続した貸家の入居者、そのまま住まわせていい?|賃貸借契約の相続人への承継とオーナー変更の通知義務

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賃貸借契約の当然承継とオーナー変更の通知義務を解説

「亡くなった父が経営していたアパートを相続することになったが、今住んでいる入居者にはどう説明すればいいのか分からない」というご相談を受けることがあります。柏市の行政書士だいち法務事務所です。賃貸中の物件を相続した場合、入居者との契約関係がどうなるのかを整理しておきましょう。

この記事の結論

  • 賃貸中の物件を相続した場合、賃貸借契約は相続人へ当然に引き継がれ、入居者と契約を結び直す必要はないとされています。
  • 家賃の振込先口座の変更など、オーナーが変わったことは入居者へ通知しておくことが実務上望ましいとされています。
  • 相続人が複数いる場合、賃貸管理に関する意思決定は共有者の持分の過半数による話し合いで行う必要があるとされています。

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賃貸借契約は相続人にそのまま引き継がれる

賃貸中の建物を相続した場合、亡くなった大家(賃貸人)としての立場は、相続によって相続人へ当然に引き継がれるとされています。これは、相続が財産上の権利義務を包括的に引き継ぐ「包括承継」(民法896条)の性質によるもので、入居者との間で新たに契約を結び直す必要はないとされています。入居者からすれば、大家が変わっても住み続けられるということです。

「賃貸人たる地位の移転」とオーナー変更の通知

不動産の売買などで所有者が変わる場合には、民法605条の2にもとづき、新しい所有者が入居者に対して賃貸人であることを主張するには、原則として所有権移転登記が必要とされています。一方、相続の場合は包括承継のため、入居者との関係で改めて対抗要件を備える必要はないとされていますが、家賃の振込先口座の変更や今後の連絡先など、実務上は入居者への通知を行っておくことが望ましいとされています。

相続登記や敷金の扱いも忘れずに

賃貸物件そのものの相続登記(名義変更)は2024年4月から義務化されており、相続の開始及び所有権の取得を知った日から原則3年以内に申請する必要があるとされています。また、入居者から預かっている敷金についても返還義務は相続人が引き継ぐことになるとされているため、敷金の管理状況もあわせて確認しておく必要があります。

相続人が複数いる場合の管理上の注意点

相続人が複数いて遺産分割協議がまだ終わっていない場合、賃貸物件は相続人全員の共有状態にあるとされています。賃料の請求先変更や修繕の実施など、日常的な管理行為については共有者の持分の過半数で決定するとされているため、相続人の一人だけの判断で入居者との契約内容を変更することは難しい場合があります。

チェックリスト

  • ☐ 賃貸借契約は相続人に当然に引き継がれることを確認した。
  • ☐ 入居者へオーナー変更・振込先変更の通知を行う準備をしている。
  • ☐ 敷金の預かり状況を確認した。
  • ☐ 相続登記(2024年4月義務化、原則3年以内)の準備を進めている。

Q. 入居者と新しい賃貸借契約を結び直す必要はありますか?

A. 相続による承継の場合、賃貸借契約は当然に引き継がれるとされており、新たに契約を結び直す必要は原則としてないとされています。

Q. 相続人の一人が家賃を勝手に受け取ってしまった場合はどうなりますか?

A. 遺産分割協議が終わるまでの賃料は、各相続人が法定相続分に応じて確定的に取得するという考え方が判例上示されているとされています。使い込みが疑われる場合は、精算方法について話し合いや専門家への相談を検討するとよいでしょう。

ワンポイントアドバイス: 入居者への通知はトラブルを避けるため書面(手紙)で行い、新しい家賃の振込先や連絡先を明記しておくことをおすすめします。

まとめ

賃貸中の物件を相続しても、入居者との契約はそのまま引き継がれ、結び直す必要はありません。ただし、オーナー変更の通知や相続登記、敷金の管理など、実務上確認しておくべき点はいくつかあります。

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相続登記の申請自体は司法書士の職域となりますが、当事務所では相続人調査や遺産分割協議書の作成、賃貸物件を相続した際のご相談に対応しています。

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