生前は言い出せなかった…遺言でわが子を認知できる?|遺言認知(民法781条2項)の効力と届出の注意点

遺言認知(民法781条2項)の効力・届出の注意点を解説する柏市の行政書士だいち法務事務所のアイキャッチ画像 相続 遺言 不動産
遺言で子を認知する場合の効力発生時期と遺言執行者による届出の注意点を整理

「若い頃に生まれた子のことを、家族には言えないまま今日まで来てしまった」というご相談を受けることが、まれにですがあります。柏市の行政書士だいち法務事務所です。婚姻関係にない相手との間に生まれた子(非嫡出子)を認知する方法は、生前の届出だけでなく、遺言によっても行えるとされています(民法781条2項)。

この記事の結論

  • 遺言書の中で子を認知する旨を記載する「遺言認知」(民法781条2項)という方法が認められているとされています。
  • 生前認知は届出の時に効力が生じますが、遺言認知の効力は遺言者が死亡した時に発生するとされています。
  • 認知の届出は遺言者本人ではなく遺言執行者が行う必要があり、戸籍法64条により就職の日から10日以内に届け出るとされています。

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遺言認知とはどのような制度か

遺言認知とは、遺言書の中に「〇〇を認知する」という趣旨の条項を記載することで、法律上の親子関係を発生させる制度を指すとされています。通常、婚姻関係にない男女の間に生まれた子を父が認知する場合は、生前に市区町村役場へ認知届を提出する方法が一般的です。もっとも、生前に事情を明かせないまま亡くなってしまうケースもあることから、民法781条2項は遺言による認知も有効な方法として認めているとされています。遺言書に記載する際は、認知する子の氏名・生年月日・本籍などを特定できる情報を明記し、認知の意思を明確に表す文言にすることが望ましいと考えられています。

効力発生のタイミングと遺言執行者が必須になる理由

生前認知の場合、認知届が役場に受理された時点で効力が生じるとされています。これに対し遺言認知は、遺言そのものの効力発生時期にあわせて、遺言者が死亡した時に効力が生じるとされています。また、認知の届出をするのは認知した本人(既に亡くなっている遺言者)ではなく、遺言執行者に限られるとされ、戸籍法64条により遺言執行者への就職の日から10日以内に届け出る義務があるとされています。このため、遺言に認知の条項を入れる場合は、あわせて遺言執行者を指定しておくことが実務上ほぼ必須になると考えられています。指定を怠ると、相続人や利害関係人が家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てる手続きが別途必要になり、認知の実現が遅れる要因になり得ます。

遺言認知が他の相続人・相続分に与える影響

認知された子は、効力が遺言者の死亡時に生じるとされ、法律上の子として相続人の地位を得ることになります。そのため、既に把握していた相続人の法定相続分・遺留分の割合にも影響が生じ得る点に注意が必要です。特に、遺言認知の事実を他の相続人が生前に知らされていなかった場合、相続開始後に初めてその存在を知り、感情的な軋轢や遺産分割協議の難航につながることも想定されます。こうした事態を和らげるためには、付言事項として認知に至った経緯や家族への配慮を書き添えておく方法も一つの選択肢になると考えられています。

チェックリスト

  • ☐ 認知したい子の氏名・生年月日・本籍を正確に把握している。
  • ☐ 遺言書の中で遺言執行者を指定している。
  • ☐ 認知が他の相続人の法定相続分・遺留分に与える影響を理解している。
  • ☐ 家族への配慮として付言事項を書き添えるかどうかを検討している。

Q. 遺言認知をすると、他の相続人の相続分は必ず減るのですか?

A. 認知された子も法律上の子として法定相続分を持つことになるため、相続人の総数が増えれば他の相続人1人あたりの取得割合は相対的に小さくなるとされています。ただし、遺留分の割合や具体的な遺産分割の内容は個別の事情によって異なります。

Q. 遺言に認知の条項を書けば、遺言執行者を指定しなくても大丈夫ですか?

A. 遺言執行者を指定していなくても、後から家庭裁判所に選任を申し立てることは可能とされています。もっとも、届出手続きが滞ると認知の実現が遅れるおそれがあるため、あらかじめ遺言執行者を指定しておくことが望ましいと考えられています。

ワンポイントアドバイス: 遺言認知は家族関係に大きな影響を与えるデリケートな内容であるだけに、条項の書き方一つで手続きの円滑さが変わってきます。公正証書遺言の形式で作成し、あわせて信頼できる専門家を遺言執行者に指定しておくと、実務上の手続きがスムーズに進みやすいと考えられています。

まとめ

生前に伝えられなかった事情があっても、遺言というかたちで子を認知し、法律上の親子関係を残す方法が用意されています。一方で効力発生の仕組みや遺言執行者の必要性など、通常の遺言以上に専門的な配慮が求められる分野でもあります。該当する事情をお持ちの方は、早めに専門家へ相談し、条項の書き方や執行者の指定を含めて準備を進めることをおすすめします。

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