農地を相続したら相続税は待ってもらえる?|農地等の納税猶予制度(相続税法70条の6)の20年営農要件

農地等の相続税納税猶予制度(相続税法70条の6)を解説する柏市の行政書士だいち法務事務所のアイキャッチ画像 相続 遺言 不動産
3年ごとの届出と20年営農・生涯営農による免除の仕組みを整理

「実家の田んぼを相続したが、農地の評価額のせいで相続税が高額になりそう」というご相談を受けることがあります。柏市の行政書士だいち法務事務所です。農業を続ける場合には、相続税の納税そのものを一定期間待ってもらえる制度があるとされています。

この記事の結論

  • 農地等についての相続税納税猶予制度(措置法70条の6)は、農業を営んでいた被相続人から農地等を取得し、農業を継続する農業相続人に対して、農地の価額のうち農業投資価格を超える部分に対応する相続税額の納税を猶予する制度とされています。
  • 猶予を継続するには、相続税の申告期限から3年ごとに「継続届出書」を提出する必要があり、提出を怠ると猶予が打ち切られ、猶予されていた税額に利子税を加えて納付しなければならないとされています。
  • 猶予税額は、三大都市圏の特定市の市街化区域を除く地域等では20年間の営農継続により免除されるとされていますが、それ以外の地域では原則として農業相続人が生涯営農を続けることが免除の条件とされ、地域によって扱いが異なる点に注意が必要です。

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農地の相続税納税猶予制度とは

農地は宅地に比べて売却しにくく、収益性も高くないにもかかわらず、相続税の評価額が高くなりやすいという事情があるとされています。そこで、農業を営んでいた被相続人から農地等を相続や遺贈によって取得し、自らも農業を営む農業相続人については、農地の価額のうち「農業投資価格」(実際の農業経営を前提とした低い価格)を超える部分に対応する相続税額の納税を猶予できる制度が用意されているとされています。宅地への転用を前提とした高い評価額のまま重い税負担を課すのではなく、農業を継続する限りは実質的な税負担を抑える趣旨の制度と理解されています。

猶予を維持するための3年ごとの届出

この制度は、一度適用を受ければ自動的に猶予が続くわけではないとされています。相続税の申告期限から3年を経過するごとに、農業を継続している旨を税務署に伝える「継続届出書」を提出する必要があるとされ、この届出を怠ると、それまで猶予されていた相続税額に加えて利子税も含めて一括で納付しなければならなくなるとされています。担保の提供も要件の一つとされているため、適用を受ける段階で、長期間にわたる管理が必要になることを見込んでおくことが大切です。

免除されるタイミングと、打ち切られるケース

猶予された相続税額は、一定期間営農を継続すれば最終的に免除されるとされています。免除の条件は農地の所在地によって異なり、三大都市圏の特定市の市街化区域を除く地域等では20年間の営農継続で免除されるとされる一方、それ以外の地域では、原則として農業相続人が生涯営農を続けることが免除の条件になるとされています。反対に、対象農地の一部を譲渡したり、農業以外の用途に転用したりすると、その部分に対応する猶予税額と利子税を納付しなければならず、猶予が打ち切られる場合があるとされています。将来的に農業を続けられるかどうかを見据えたうえで、この制度を利用するかどうかを判断することが望ましいと考えられます。

チェックリスト

  • ☐ 相続した農地が納税猶予の対象となる農地等に該当するか確認している。
  • ☐ 農業投資価格を超える部分に相当する相続税額の目安を把握している。
  • ☐ 3年ごとの継続届出書の提出期限をカレンダー等で管理する予定がある。
  • ☐ 将来的に農業をやめる・農地を売却する可能性がある場合のリスクを理解している。

Q. 農地の一部だけを売却したら猶予はどうなりますか?

A. 猶予の対象となっている農地等の一部を譲渡・転用した場合、その部分に対応する猶予税額と利子税を納付する必要が生じるとされています。

Q. 20年営農すれば必ず免除されますか?

A. 三大都市圏の特定市の市街化区域を除く地域等の農地については20年間の営農継続で猶予税額が免除されるとされていますが、対象地域や農地の種類によって取り扱いが異なるため、事前の確認が必要と考えられます。

ワンポイントアドバイス: この制度は長期間にわたって管理が必要になるため、適用を受けるかどうかは、農業を継続する意思・体制があるかを踏まえて慎重に検討することをおすすめします。3年ごとの届出漏れは猶予打ち切りに直結するため、税理士と連携してスケジュール管理を行うと安心です。

まとめ

農地等の相続税納税猶予制度は、農業を続ける農業相続人にとって有力な選択肢となり得る一方、3年ごとの届出や将来の営農継続といった長期的な負担も伴うとされています。適用を検討する際は、農地の相続手続き全体とあわせて、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

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