「妻の連れ子を小学生のころから実の子どものように育ててきました。私が亡くなったら、この子にも財産は渡るのでしょうか」。再婚されたご家庭から、このようなご相談をいただくことがあります。こんにちは、柏市の行政書士だいち法務事務所です。結論からお伝えすると、再婚相手の連れ子は、一緒に暮らして育ててきたとしても、養子縁組をしていなければ法律上の相続人にはならないとされています。財産を残したい気持ちがあるなら、元気なうちに「養子縁組」か「遺言」で形にしておくことが大切です。
この記事の結論
- 再婚相手の連れ子と継親(けいしん)との間には、結婚しただけでは法律上の親子関係が生じません。そのため、養子縁組をしていない連れ子は継親の相続人にならないとされています。
- 養子縁組をすると、連れ子は養親の嫡出子の身分を取得し(民法809条)、実子と同じ相続分を持つことになります。普通養子縁組なら、実の親との親子関係も続くため、実の親の相続人でもあり続けます。
- 相続税の計算では、養子の数に制限がありますが、配偶者の連れ子を養子にした場合は実子と同じ扱いになり、この制限の対象外とされています。養子縁組をしない場合は、遺言で財産を遺す方法があります。
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養子縁組をしていない連れ子は、なぜ相続人にならないのか
民法では、亡くなった方(被相続人)の子が相続人になると定められています(民法887条)。ここでいう「子」は、血のつながった実子と、養子縁組をした養子を指します。
再婚によって、夫(妻)と連れ子の間には「姻族(いんぞく)」という関係が生まれます。とはいえ、姻族は相続人には含まれません。何年一緒に暮らしていても、どれほど大切に育ててきても、養子縁組をしていなければ、連れ子は継親の財産を相続できないとされています。
よくある誤解に、「戸籍に一緒に入っているから大丈夫」というものがあります。連れ子が継親と同じ戸籍に入る手続き(子の氏の変更と入籍)をしていても、それだけでは親子関係は生じないとされている点に注意が必要です。
養子縁組をすると、何が変わるのか
養子縁組をすると、連れ子は養親の嫡出子の身分を取得します(民法809条)。相続の場面では実子と区別されず、実子と同じ割合の相続分を持つことになります。たとえば、夫が亡くなり、相続人が妻・夫と前妻との間の子・妻の連れ子(養子)の3人であれば、妻が2分の1、子2人がそれぞれ4分の1ずつというのが法定相続分の考え方です。
一般的な「普通養子縁組」では、連れ子と実の親(離婚した元配偶者など)との親子関係もそのまま続きます。そのため、連れ子は養親と実の親の両方の相続人になる、という点も押さえておきたいところです。
手続きの面では、未成年者を養子にする場合、原則は家庭裁判所の許可が必要ですが、配偶者の子(連れ子)を養子にする場合は、許可は不要とされています(民法798条ただし書)。また、結婚している人が未成年者を養子にするときは夫婦そろって縁組するのが原則ですが、配偶者の嫡出子を養子にする場合はこの限りでないとされています(民法795条)。お子さんが15歳未満のときは、親権者が代わって縁組を承諾する仕組みです。離婚した元配偶者が親権や監護に関わっている場合などは、その方の同意が必要になることもあるため、事前に確認しておきましょう。
相続税の計算での扱いと、養子縁組をしない場合の選択肢
相続税の基礎控除などを計算する際、法定相続人の数に含められる養子は、実子がいれば1人、いなければ2人までという制限があります。一方、国税庁の案内では、被相続人の配偶者の実の子で、被相続人の養子になっている人は実子として扱われ、すべて法定相続人の数に含まれるとされています。連れ子との養子縁組は、この人数制限を気にせずに済むケースといえます。
事情があって養子縁組まではしたくない、または連れ子本人が望まないという場合もあるでしょう。そのようなときは、遺言で連れ子に財産を遺す(遺贈する)方法が考えられます。ただし、相続人でない人が遺贈を受けると相続税が2割加算になることや、他の相続人の遺留分に配慮が必要になることには注意が必要です。生前贈与を少しずつ活用するという選択肢もあります。
チェックリスト
- ☐ 連れ子と養子縁組をしているかどうか、戸籍で確認した。
- ☐ 同じ戸籍に入っていることと、養子縁組をしていることは別だと理解している。
- ☐ 前の結婚で生まれた子がいる場合、その子も相続人になることを把握している。
- ☐ 養子縁組をした場合、連れ子が実の親の相続人でもあり続けることを知っている。
- ☐ 養子縁組をしない場合に備えて、遺言の作成を検討している。
Q. 連れ子が成人していても、養子縁組はできますか?
A. 成人した連れ子とも養子縁組はできるとされています。成人どうしの縁組では家庭裁判所の許可は不要で、本人と養親になる人の合意にもとづき、市区町村役場へ養子縁組届を提出する流れが一般的です。柏市にお住まいの場合は、柏市役所などの戸籍の窓口で必要書類を確認できます。
Q. 再婚相手(連れ子の実の親)が先に亡くなったら、連れ子はどうなりますか?
A. 連れ子は実の親の相続人として、実の親の財産を相続します。一方、その後に継親が亡くなったときは、養子縁組をしていなければ継親の相続人にはなりません。先に実の親が亡くなると、継親側の財産が連れ子に渡らないケースがあるため、早めの備えが望ましいと考えられます。
Q. 連れ子に遺言で財産を遺す場合、注意点はありますか?
A. 遺贈を受ける連れ子は相続人ではないため、相続税がかかる場合には2割加算の対象になるとされています。また、実子など他の相続人には遺留分があるため、遺す財産の割合によっては後で請求を受ける可能性があります。財産全体のバランスを見ながら内容を決めることが大切です。
ワンポイントアドバイス: 再婚家庭では、前の結婚で生まれた子と連れ子が、どちらも相続に関わることがあります。誰が相続人になるのかを家系図のように書き出してみると、想定していなかった相続人や、財産が届かない家族に気づきやすくなります。養子縁組と遺言のどちらを選ぶかは、お子さんの気持ちも尊重しながら、ご家族で話し合っておくと安心です。
まとめ
再婚相手の連れ子は、養子縁組をしていなければ、継親の相続人にはならないとされています。養子縁組をすれば実子と同じ相続分を持ち、相続税の計算でも実子と同じ扱いを受けられます。縁組をしない場合でも、遺言で財産を遺すことは可能です。「実の子どものように育ててきたから大丈夫」と考えて何もしないままにせず、ご家族の形に合った方法を元気なうちに選んでおきましょう。
連れ子への相続や遺言の作成について、お気軽にご相談ください
行政書士は、相続人調査(戸籍収集)、遺産分割協議書の作成、遺言書の文案作成のサポート、養子縁組届など官公署に提出する書類の作成を承っております。なお、相続税の申告は税理士、相続をめぐる争いの代理交渉や遺留分侵害額請求の代理は弁護士の業務となるため、必要に応じて適切な専門家をご案内いたします。
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