遺言執行者の仕事、専門家に任せてもいい?|復任権(民法1016条)の範囲と責任の所在

遺言執行者の復任権(民法1016条)を解説する柏市の行政書士だいち法務事務所のアイキャッチ画像 相続 遺言 不動産
第三者への任務の委任と責任の範囲を整理

「遺言執行者に指定されたけれど、平日は仕事があってとても手続きに時間を割けない」というご相談を受けることがあります。柏市の行政書士だいち法務事務所です。実は遺言執行者は、必ずしも自分一人で全ての作業を抱え込む必要はなく、民法1016条にもとづき第三者へ任務の一部を任せられるとされています。

この記事の結論

  • 民法1016条により、遺言執行者は遺言者が別段の意思を示していない限り、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができるとされています。
  • 2019年7月1日以降に作成された遺言では、旧法の「やむを得ない事由」という要件が撤廃され、原則として自由に第三者へ任務を任せられるようになったとされています。
  • 第三者へ任務を任せた場合の責任は、選任・監督についてのみ負うのが原則とされ、任せたからといって責任が重くなるわけではないと考えられています。

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復任権とはどんな権利?

遺言執行者は、相続財産の管理や名義変更の手続きなど、遺言の内容を実現するために幅広い作業を担う立場です。「復任権」とは、そうした任務の一部または全部を、自分以外の第三者(専門家等)に行わせることができる権利を指すとされています。かつての民法では「やむを得ない事由」がある場合に限定されていましたが、2019年7月1日施行の改正民法1016条により、遺言者が遺言の中で別段の意思を示していない限り、原則として自由に第三者へ任務を任せられるようになったとされています。

専門家に任せると責任はどうなる?

仕事を人に任せると、何かあったときの責任も重くなるのではと心配される方もいらっしゃいます。この点、民法1016条2項は、遺言執行者が第三者にその任務を行わせた場合の責任について、代理に関する民法105条の規定を準用するとされています。原則として第三者の選任および監督についてのみ責任を負えばよく、本人(遺言者)が指名した専門家に任せた場合は、その専門家が不適任・不誠実であることを知りながら放置した場合等を除いて、責任を問われにくいと考えられています。

どんな場面で復任権を使うべきか

実務上は、遺言執行者に指定された相続人自身が高齢である場合や遠方に住んでいる場合、相続財産に不動産や事業用資産など専門知識を要する財産が含まれる場合などに、行政書士・司法書士・弁護士といった専門家へ任務の一部を委任するケースが少なくないとされています。遺言書の中であらかじめ「専門家に復任することを認める」旨を明記しておくと、実際に執行段階に入ったときの選択肢が広がりやすいとも言えるでしょう。

チェックリスト

  • ☐ 自分が遺言執行者に指定された遺言の作成日(2019年7月1日の前後)を確認している。
  • ☐ 遺言書の中に復任に関する別段の定めがないかを確認している。
  • ☐ 任務を任せる専門家の選定に問題がないか、慎重に検討している。
  • ☐ 復任後も選任・監督責任は残ることを理解している。

Q. 遺言書作成時から「復任できる」と書いておく必要がありますか?

A. 現行法では遺言者が別段の意思を示していない限り原則として復任できるとされているため必須ではありませんが、意思を明確にしておくと後のトラブル防止に役立つと考えられています。

Q. 2019年7月より前に作られた遺言でも復任できますか?

A. 旧法が適用される場合は「やむを得ない事由」があるときに限り復任できるとされているため、施行日をまたぐ遺言については適用される法律の確認が必要になると考えられています。

ワンポイントアドバイス: 復任した専門家への報酬は、原則として遺言執行者自身の報酬の中から支払う扱いになりやすいとされています。専門家へ依頼する予定がある場合は、遺言執行者の報酬額の設定段階からその費用も見込んでおくと安心です。

まとめ

遺言執行者は、必ずしも全ての作業を一人で抱え込む必要はなく、民法1016条にもとづき第三者へ任務を任せられる場合があるとされています。復任後も選任・監督の責任は残るため、誰に何を任せるかは慎重に検討したうえで、必要に応じて専門家へ相談することをおすすめします。

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