「実家を相続したので建て替えようと思ったら、ハウスメーカーから『ここは市街化調整区域なので、すぐには建てられません』と言われました」というご相談を受けることがあります。柏市の行政書士だいち法務事務所です。結論からお伝えすると、市街化調整区域では建物の新築や建て替えが原則として制限されており、建て替えるには市の許可が必要になる場合があるとされています。売却もできないわけではありませんが、買い手が限られやすいため、相続した段階で「どんな条件なら建てられる土地か」を確認しておくことが大切です。
この記事の結論
- 市街化調整区域は、都市計画法で「市街化を抑制すべき区域」とされ、建物の新築・建て替え・用途の変更には、原則として許可が必要とされています(都市計画法29条・43条)。
- 区域が指定される前から建っていた建物や、許可を受けて建てた建物は、一定の条件のもとで建て替えが認められる場合があります。ただし、農家住宅・分家住宅など「その人だから」認められた建物は、相続人以外の第三者が使う場合に改めて許可が必要になることがあるとされています。
- 柏市では、市域の半分以上が市街化調整区域です。相続した実家の扱いは個別の事情で変わるため、建て替えや売却を考え始めたら、早めに柏市の担当窓口で確認しましょう。
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市街化調整区域とは
都市計画法では、計画的に街づくりを進めるため、都市計画区域を「市街化区域」と「市街化調整区域」に分けています(いわゆる線引き)。市街化区域が積極的に住宅や店舗を整備していく区域であるのに対し、市街化調整区域は、農地や自然環境を守るために市街化を抑えるべき区域とされています。
柏市の資料によると、柏市では昭和45年(1970年)7月31日に線引きが行われ、市街化区域が約5,484ヘクタール、市街化調整区域が約6,006ヘクタールとされています(令和3年3月31日時点)。つまり、市内の半分以上が市街化調整区域にあたり、相続した実家が該当していることは決して珍しくありません。
相続した実家は建て替えられるのか
市街化調整区域では、建物を新築するだけでなく、建て替え(改築)や用途の変更をする場合にも、原則として許可が必要とされています。柏市のような中核市では、この許可の窓口は市になります。
建て替えが認められるかどうかは、主に次のような点で判断されるのが一般的です。
- その建物が、線引きの前から建っていたものか、許可を受けて建てられたものか
- 建て替え後の用途・規模が、従前の建物と同じ程度か
- 建物を取り壊してから、どのくらいの期間が経っているか
注意が必要なのが、農家住宅や分家住宅として建てられた家です。これらは「農業を営む人」「本家の親族」といった、特定の人の事情にもとづいて建築が認められたものとされています。相続人がそのまま住み続ける場合は問題になりにくい一方、第三者に売る、貸すといった場合には、用途変更の許可が必要になることがあると考えられています。
また、建物を取り壊して更地のまま長く置いておくと、建て替えの扱いを受けられなくなるおそれもあります。解体を先に進める前に、市の窓口で確認しておくと安心です。
売却・手放す場合に知っておきたいこと
市街化調整区域の不動産も、売買そのものは法律で禁止されているわけではありません。ただし、購入した人が自由に家を建てられるとは限らないため、市街化区域の土地に比べて買い手が見つかりにくく、価格も低くなりやすいとされています。住宅ローンの審査が通りにくい場合があることも、買い手が限られる理由の一つです。
売却の主な選択肢としては、隣地の所有者に買い取ってもらう、市街化調整区域の取引に慣れた不動産会社に相談する、といった方法が考えられます。どうしても活用の見込みが立たない場合には、一定の要件のもとで土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」も選択肢になりますが、建物がある土地は対象外のため、解体が前提となる点に注意が必要です。
敷地の一部が畑など農地になっている場合は、都市計画法とは別に、農地法の許可や届出も関係してきます。
チェックリスト
- ☐ 実家の所在地が、市街化区域と市街化調整区域のどちらにあるか確認した。
- ☐ 建物がいつ建てられたか、登記簿や建築確認の書類で把握している。
- ☐ 建築時に許可を受けた建物か(農家住宅・分家住宅など)を調べた。
- ☐ 解体を急がず、建て替えの可否を先に市へ相談する予定にしている。
- ☐ 相続登記(相続から3年以内の申請義務)を済ませたか、手配を進めている。
Q. 実家が市街化調整区域かどうかは、どうやって調べればいいですか?
A. 登記簿や固定資産税の通知書には、区域の区分は記載されていないことが一般的です。柏市が公開している都市計画図で確認するか、所在地(地番)を伝えて市の都市計画の担当窓口に問い合わせると、確実に把握できます。
Q. 市街化調整区域の実家は、相続放棄したほうがいいのでしょうか?
A. 相続放棄をすると、実家だけでなく預貯金などすべての財産を受け取れなくなります。建て替えや売却の可能性を確認しないまま判断するのは避け、熟慮期間(原則3か月)のうちに、財産全体を見渡して検討するのがよいと考えられます。
ワンポイントアドバイス: 市街化調整区域の建て替えや用途変更の可否は、建物の建築経緯や、市の運用基準によって細かく変わります。実家にある古い建築確認の書類や、建てた当時の許可書などが残っていれば、捨てずに保管しておきましょう。相談の際の大きな手がかりになり、判断が早く進むことがあります。
まとめ
市街化調整区域にある実家は、建て替えや用途の変更に原則として許可が必要とされ、農家住宅・分家住宅のように特定の人の事情で建てられた家は、第三者に引き継ぐ際に改めて許可が必要になることがあります。柏市では市域の半分以上が市街化調整区域にあたるため、相続した実家が該当するケースは少なくありません。解体や売却を急ぐ前に、区域の区分と建物の経緯を確認し、市の窓口や専門家に相談しながら進めていきましょう。
市街化調整区域にある実家のご相談もお気軽に
行政書士は、相続人調査(戸籍収集)、遺産分割協議書の作成のほか、開発許可・建築許可などの許認可申請書類の作成(図面等は建築士・土地家屋調査士などと連携)を承っております。なお、相続登記の申請は司法書士、相続税の申告は税理士、不動産の売買仲介は宅地建物取引業者の業務となるため、必要に応じて適切な専門家をご案内いたします。
参考URL
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