税務署から相続税の書類が届いた…必ず申告が必要?|「お尋ね」「お知らせ」と申告要否検討表の対応

税務署から届く相続税の「お尋ね」「お知らせ」の書類と、申告要否検討表への対応、基礎控除との比べ方を解説する柏市の行政書士だいち法務事務所のアイキャッチ画像 相続 遺言 不動産
税務署から書類が届いても必ず申告が必要とは限らず、まずは遺産の総額を基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)と比べることが出発点とされています

「父の四十九日も終わって少し落ち着いた頃、税務署から相続税の封筒が届いて、うちは何か悪いことをしたのかと青ざめました」――柏市の行政書士だいち法務事務所には、こうしたご相談が寄せられることがあります。税務署からの郵便と聞くと身構えてしまいますが、この書類は、亡くなった方の相続人に対して、相続税の申告が必要かどうかを確認してもらうために送られる案内です。(参考例)預貯金と自宅だけで、相続人は母と子2人という一般的なご家庭でも届くことがあり、封筒が届いたこと自体が「申告漏れを疑われている」という意味ではないと考えられます。今回は、届く書類の種類と、申告が必要かどうかの確かめ方、同封の「申告要否検討表」への対応を整理します。

この記事の結論

  • 税務署から届く書類には、申告が必要と見込まれる人向けの「相続税の申告等についてのご案内」と、そのほかの人向けの「相続税についてのお知らせ」があるとされ、以前は「お尋ね」と呼ばれていました。届いたからといって、必ず申告が必要になるわけではありません。
  • 申告が必要かどうかは、遺産の総額(生命保険金の非課税枠を超える部分や一定の生前贈与を含み、借入金・葬式費用を差し引いた額)が、基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えるかどうかで判断するのが出発点とされています。
  • 基礎控除以下であれば、同封の「申告要否検討表」を記入して税務署に提出しておくことが勧められています。超える場合は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告が必要で、特例を使って税額がゼロになる場合も申告書の提出が必要とされています。

税務署の書類が届いて不安なときは、まず財産の洗い出しから一緒に

税務署から届く書類は2種類、なぜうちに届いたの?

死亡届が役所に提出されると、その情報は市区町村から税務署へ通知される仕組みになっています(相続税法58条)。税務署は、この情報や、亡くなった方の不動産・所得に関する情報などをもとに、相続税の申告が必要になりそうな方を選んで書類を送っているとされています。

平成27年(2015年)の基礎控除の引き下げ以降、届く書類は大きく次の2種類に分かれたと紹介されています。

  • 相続税の申告等についてのご案内:申告が必要になる可能性が比較的高いと見込まれる方に送られるもの。申告書の様式や「相続税のあらまし」などが同封されることが多いとされています。
  • 相続税についてのお知らせ:そのほかの方に送られるもの。申告が必要かどうかを自分で確かめるための案内が中心です。

どちらの場合も、同封されていることが多いのが「相続税の申告要否検討表」です。書類が届く時期は、亡くなってから半年前後が多いとされ、申告期限(10か月)が近づいてから慌てる方も少なくありません。封筒を開けずに置いておくのではなく、届いたらすぐに中身を確認しておきましょう。

申告が必要かどうかは、まず基礎控除と比べる

相続税には「基礎控除」があり、遺産の総額がこの金額以下であれば相続税はかからず、申告も原則として不要とされています。計算式は次のとおりです。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

たとえば、相続人が配偶者と子2人の合計3人であれば、3,000万円+600万円×3人=4,800万円が基礎控除額になります。比べる「遺産の総額」には、次のようなものを含めて考える必要があります。

  • 自宅などの不動産(土地は路線価や倍率方式による評価額、建物は固定資産税評価額が基本)
  • 預貯金、株式・投資信託などの有価証券
  • 生命保険金・死亡退職金のうち、それぞれ「500万円×法定相続人の数」の非課税枠を超える部分
  • 亡くなる前の一定期間内(段階的に3年から7年へ延長中)に相続人などが受けた贈与

そこから、亡くなった方の借入金や未払いの税金、葬式費用などを差し引いた額が、基礎控除と比べる金額の目安になります。土地の評価は不動産会社の査定額(時価)とは異なり、路線価などで計算するため、「実家は売れば高いはずだから申告が必要」と早合点しないことも大切です。国税庁のホームページには、財産額などを入力して申告のおおよその要否を確かめられる「相続税の申告要否判定コーナー」も用意されているとされています。

申告要否検討表はどう書いて、どこに出す?

申告要否検討表は、相続人の人数や、不動産・預貯金などの財産の概算額を書き込み、基礎控除を超えるかどうかを確かめるための用紙です。法律で提出が義務づけられた書類ではなく、出さなかったことだけで罰則があるわけではないとされています。

それでも、基礎控除以下だと確認できた場合は、記入して税務署に提出しておくことが勧められています。税務署の側で「申告が不要な理由」を把握できるため、後日の問い合わせを減らせるうえ、自分たちでも財産の全体像を一度整理するきっかけになるからです。記入にあたっては、次の点を意識すると進めやすくなります。

  • 相続人の数は、戸籍で確認した法定相続人の数で書く(相続放棄をした人がいても、基礎控除の計算上は人数に含めるとされています)
  • 不動産は、固定資産税の課税明細書や名寄帳、路線価図をもとに概算する
  • 預貯金は、亡くなった日時点の残高証明書や通帳の残高で確認する

提出先は、書類を送ってきた税務署、つまり亡くなった方の最後の住所地を所轄する税務署になります。柏市にお住まいだった方であれば、柏税務署が窓口になると考えられます。記入方法や提出方法は書類ごとに案内が異なる場合があるため、同封の説明書きを確認し、分からない点は税務署に問い合わせておくと安心です。

基礎控除を超えそうなときの注意点

遺産の総額が基礎控除を超える場合は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に、相続税の申告と納税が必要になります。次の点は特に誤解されやすいところです。

  • 特例で税額がゼロでも申告は必要:配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は、申告書を提出することが適用の要件とされています。「税金がかからないなら申告しなくてよい」とはならない点に注意が必要です。
  • 遺産分割がまとまっていなくても期限は延びない:話し合いが間に合わない場合は、いったん法定相続分で分けたものとして申告し(未分割申告)、分割後に修正する方法がとられます。
  • 書類が届かなくても申告義務はある:税務署から何も届いていない場合でも、基礎控除を超えていれば申告が必要です。

期限を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税がかかる場合があるとされています。税務署の書類が届いた時点で残りの期間は数か月しかないことも多いため、基礎控除を超えるかどうか微妙なときほど、早めに財産の資料を集めて税理士に相談しておくことが大切です。

チェックリスト

  • ☐ 税務署からの封筒を開け、「ご案内」「お知らせ」のどちらかと同封物を確認した。
  • ☐ 戸籍で法定相続人の人数を確かめ、基礎控除額を計算した。
  • ☐ 不動産の評価額を、課税明細書・名寄帳・路線価図で概算している。
  • ☐ 亡くなった日時点の預貯金の残高を把握した。
  • ☐ 生命保険金・死亡退職金の金額と、非課税枠を超える部分を確認した。
  • ☐ 生前に受けた贈与や、借入金・葬式費用の金額を書き出した。
  • ☐ 申告期限(亡くなったことを知った日の翌日から10か月)の日付をカレンダーに記入した。

Q. 申告要否検討表を出さずに放っておくと、どうなりますか?

A. 検討表は法律上の提出義務がある書類ではなく、出さないことだけで罰則があるわけではないとされています。ただし、税務署から確認の連絡が来ることがあるほか、実際には基礎控除を超えていた場合は無申告となってしまうため、内容を確認して対応しておくことが勧められます。

Q. すでに税理士に相続税の申告を頼んでいます。検討表も出す必要がありますか?

A. 申告期限までに相続税の申告書を提出するのであれば、検討表を別に提出する必要はないとされています。念のため、届いた書類を依頼先の税理士に見せておくとよいでしょう。

Q. 相続人が複数いますが、書類は長男にしか届いていません。

A. 書類は相続人のうちの1人に宛てて送られることが多いとされています。相続税の申告は相続人全員に関わる手続きのため、届いた方が内容を他の相続人と共有し、誰が財産の資料を集めるかを話し合っておくことが大切と考えられます。

ワンポイントアドバイス: 申告が必要かどうかを判断するには、戸籍による相続人の確定と、不動産・預貯金などの財産の一覧づくりが欠かせません。柏市・松戸市・流山市・我孫子市にお住まいの方から、戸籍の収集や財産の一覧表(財産目録)の作成のご相談をお受けしています。相続税の計算や申告そのものは税理士の業務となるため、整理した資料をもとに税理士へスムーズにつなぐお手伝いをいたします。

まとめ

税務署から届く相続税の書類は、申告が必要かどうかを確認してもらうための案内であり、届いたことだけで申告が必要になるわけではないとされています。まずは法定相続人の人数から基礎控除額を計算し、不動産・預貯金・保険金などを含めた遺産の総額と比べてみましょう。基礎控除以下なら申告要否検討表を提出しておくと安心で、超える場合は10か月の期限内に、特例を使う場合も含めて申告が必要です。残りの期間が短いことも多いため、書類が届いたら早めに動き出すことが大切です。

申告期限が迫る前に、相続人と財産の整理を柏市の相談室で

行政書士は、相続人の調査(戸籍収集)、財産目録や遺産分割協議書の作成などを承っております。なお、相続税の計算・申告書の作成・税務署とのやり取りは税理士、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士、相続人間の交渉・訴訟は弁護士の業務となるため、必要に応じて適切な専門家をご案内いたします。

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