遺産分割のあとで預金口座が見つかった…協議はやり直し?|後から判明した遺産の分け方と相続税の修正申告

遺産分割協議の後に見つかった財産の分け方と相続税の修正申告を解説する柏市の行政書士だいち法務事務所のアイキャッチ画像 相続 遺言 不動産
後から見つかった遺産は追加の協議で分けるのが基本、相続税の申告後なら修正申告も検討

「遺産分割協議書に全員で判をついて、手続きも一段落したと思っていたら、母の遺品の中から知らない銀行のキャッシュカードが出てきました。もう一度、全部話し合い直さないといけないのでしょうか」。こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。ネット銀行の口座や、長く使われていなかった預金、証券口座などは、遺産分割が終わってから見つかることが珍しくありません。今回は、遺産分割協議のあとで新しい財産が見つかった場合の分け方と、相続税の申告を済ませていた場合の対応を整理します。

この記事の結論

  • 遺産分割協議のあとで新しい財産が見つかっても、すでに成立した協議は原則として有効のままです。見つかった財産についてだけ、相続人全員で追加の協議をするのが基本とされています。
  • 協議書に「後日判明した財産は〇〇が取得する」という条項があれば、追加の協議をせずにその定めに従って手続きできます。一方、見つかった財産が遺産の大部分を占めるような場合は、協議全体のやり直しが問題になることもあります。
  • 相続税の申告後に財産が見つかり税額が増えるときは、修正申告が必要です。税務署から調査の通知を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかからないとされていますが、延滞税は別にかかります。

後から見つかった財産の手続き、何から始めればよいか一緒に整理しませんか

遺産分割のあとで財産が見つかるのはどんなとき?

通帳のないネット銀行の口座は、遺産分割後に見つかる財産の代表例です。ほかにも、何年も出し入れのない地方銀行の預金、存在を家族が知らなかった証券口座、貸金庫の中身、ゴルフ会員権などが後から判明することがあります。不動産では、自宅前の私道の持分や、遠方の山林・原野などが、固定資産税がかからないために納税通知書に載らず、見落とされやすいとされています。

財産の見落としを防ぐには、遺産分割の前に、金融機関への残高照会や市区町村での名寄帳の取得など、調べられる範囲を一通り確認しておくことが大切です。それでも、郵便物やスマートフォンの中から後になって手がかりが出てくることはあります。見つかったときに慌てないよう、対応の基本を知っておきましょう。

見つかった財産の分け方は3つのパターン

1つ目は、見つかった財産だけを追加で協議する方法です。すでに成立した遺産分割協議はそのまま有効とし、新たな財産の取得者を相続人全員で決めて、追加の遺産分割協議書を作成します。全員の署名と実印での押印、印鑑証明書が必要になる点は、最初の協議と同じです。

2つ目は、最初の協議書の条項に従う方法です。協議書に「本協議書に記載のない財産および後日判明した財産は、長男〇〇が取得する」といった条項を入れていれば、改めて協議をしなくても、その定めにもとづいて名義変更などを進められます。これから協議書を作る方には、入れておくことをおすすめしたい条項の一つです。

3つ目は、協議全体をやり直す方法です。見つかった財産が遺産全体の中で大きな割合を占め、その存在を知っていれば最初の分け方には合意しなかったといえるような場合には、協議の効力そのものが問題になることがあります(民法95条の錯誤)。相続人全員が合意すれば協議をやり直すこともできるとされていますが、すでに分けた財産を移し替えると、相続人間の贈与や譲渡として贈与税・所得税がかかる可能性がある点に注意が必要です。

なお、後から見つかったのが借金などのマイナスの財産だった場合は、扱いが異なります。借金は遺産分割の対象にならず、法定相続分に応じて各相続人に引き継がれるとされています。相続放棄の期限や、すでに財産を受け取っていることとの関係も問題になるため、早めに弁護士や司法書士へ相談しましょう。

相続税の申告後に見つかったら修正申告を検討

相続税の申告をすでに済ませていた場合、見つかった財産を加えると税額が増えるのであれば、修正申告を行う必要があります。税務署の調査の通知を受ける前に、自主的に修正申告をした場合には、過少申告加算税は課されないとされています。反対に、調査の通知を受けた後の修正申告では加算税がかかる仕組みのため、気づいた段階で早めに動くことが何より大切です。

ただし、本来の納期限から納付する日までの期間に応じて、延滞税は別途かかります。財産の存在を知りながら申告しなかったと判断されると、より重い加算税の対象になるおそれもあります。もともと基礎控除の範囲内で申告不要だったご家庭でも、見つかった財産を加えると基礎控除額を超えることがあるため、合計額を改めて確認しておきましょう。税額の計算や申告書の作成は、税理士にご相談ください。

チェックリスト

  • ☐ 見つかった財産の種類と、相続開始日時点の残高・評価額を確認した。
  • ☐ 最初の遺産分割協議書に「後日判明した財産」に関する条項があるか読み返した。
  • ☐ 相続人全員に、新しい財産が見つかったことを連絡した。
  • ☐ 追加の協議で、誰が取得するかの方向性がまとまっている。
  • ☐ 相続税の申告をしていた場合、税額が変わるかを税理士に確認した。
  • ☐ ほかにも見落としがないか、通帳・郵便物・スマートフォンをもう一度見直した。

Q. 見つかった預金が少額でも、相続人全員の協議が必要ですか?

A. 金額が少なくても、遺産分割の対象となる財産であることに変わりはないため、原則として相続人全員の合意が必要とされています。最初の協議書に後日判明した財産の取得者を定める条項があれば、その定めに従って手続きできます。少額の預金については、金融機関ごとに簡易な手続きが用意されている場合もありますので、まずは窓口に確認してみましょう。

Q. 追加の遺産分割協議書は、最初と同じ書式で作ればよいですか?

A. 基本的な書き方は最初の協議書と同じで、被相続人の情報、新たに判明した財産の内容、取得する相続人を記載し、相続人全員が署名して実印を押印します。最初の協議書を引き継ぐ追加の協議であることが分かるよう、最初の協議の日付に触れておくと、金融機関などでの手続きがスムーズになると考えられます。

Q. 新しい財産が見つかったことを、他の相続人に黙っていてもよいですか?

A. 見つかった財産は相続人全員の共有の状態にあるため、一人だけで払い戻しを受けたり使ったりすることはできないとされています。後になって発覚すると、相続人間の信頼関係が崩れ、大きなトラブルにつながりかねません。相続税の申告が必要な場合には、税務上のペナルティも重くなるおそれがありますので、見つけた時点で全員に共有することをおすすめします。

ワンポイントアドバイス: これから遺産分割協議書を作る方は、「本協議書に記載のない財産および後日判明した財産は、〇〇が取得する」という一文を入れておくだけで、後の手間を大きく減らせます。誰が取得するかを決めにくい場合は、「相続人全員で別途協議する」と定める書き方もあります。当相談室では、こうした条項も含めた協議書の作成をお手伝いしています。

まとめ

遺産分割協議のあとで新しい財産が見つかっても、成立した協議が当然に無効になるわけではなく、見つかった財産についてだけ追加で協議するのが基本とされています。協議書に後日判明した財産の条項があれば、その定めに従って手続きを進められます。相続税の申告後であれば、税務署の調査の通知を受ける前に修正申告をすることで、加算税の負担を避けられるとされています。見つけた時点で相続人全員に共有し、落ち着いて一つずつ進めていきましょう。

追加の遺産分割協議書の作成は、柏市の相談室にお任せください

行政書士は、相続人の調査(戸籍収集)、相続財産の調査のサポート、遺産分割協議書の作成などを承っております。なお、相続税の修正申告や更正の請求は税理士、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士、相続人間の紛争の代理や協議の効力をめぐる交渉は弁護士の業務となるため、必要に応じて適切な専門家をご案内いたします。

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