愛犬・愛猫のために遺言は書ける?|負担付遺贈でペットの世話を託す方法と注意点

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財産を渡す代わりに世話を託す負担付遺贈のしくみ

こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。

ご相談の中には、「自分が先に亡くなったら、愛犬の世話は誰がしてくれるのだろうか」というものがあります。ペットは法律上「物」として扱われ、遺産分割の対象財産の一部になります。世話をしてくれる人を口約束だけで決めていたところ、実際に相続が発生した際に約束が守られず、ペットの行き先に困ってしまったというケースも見聞きします。

この記事の結論

  • 「財産を渡す代わりに世話をしてもらう」という負担付遺贈(民法1002条)を遺言書に定めることができます。
  • 負担が履行されない場合、相続人は相当期間を定めて催告し、それでも履行がなければ家庭裁判所に遺言の取消しを請求できます(民法1027条)。
  • 遺言執行者を指定しておくと、負担の履行状況を確認しやすくなり、実効性が高まると考えられています。

大切な家族の一員のための備え、一緒に考えましょう

「ペットに遺産を残す」ことはできない、という落とし穴

ペットは民法上、権利や義務の主体にはなれない「物」として扱われるとされています。そのため、「愛犬に財産の一部を相続させる」という内容の遺言を書いても、法的な効力は生じないと考えられています。

この点を知らないまま、「ペットのために」という気持ちだけで漠然とした遺言を残してしまうと、実際には誰にも世話をする義務が発生せず、ペットが行き場を失ってしまう危険があります。ペットに財産を直接残すことはできませんが、代わりに「人に財産を渡し、その人に世話を託す」という形をとることで、実質的にペットの将来に備えることができます。

解決策は「負担付遺贈」|財産を渡す代わりに世話を義務づける

民法1002条に定められている負担付遺贈とは、受遺者(財産を受け取る人)に一定の法律上の義務を負わせたうえで、財産を遺贈する仕組みです。「友人のAさんに預貯金300万円を遺贈する。ただしAさんは、愛犬〇〇が生涯を終えるまで適切に世話をすること」といった条項を遺言書に盛り込むことで、ペットの世話という負担とセットで財産を託すことができます。

負担付遺贈を受けた人が負担を履行しなくても、遺贈そのものは遺言者が亡くなった時点で有効に成立すると考えられています。つまり財産だけ受け取って世話をしないというケースも制度上は起こり得るため、次に紹介する「履行されない場合の備え」もあわせて検討しておくことが欠かせません。

世話をしてもらえなかった場合の備え(民法1027条)と遺言執行者の役割

民法1027条では、負担付遺贈を受けた人がその義務を履行しないときは、相続人が相当の期間を定めて履行を催告できるとされています。それでも期間内に履行がなければ、家庭裁判所にその遺言の取消しを請求できると定められています。この規定があることで、負担が果たされないまま財産だけが渡ってしまう事態に、一定の歯止めがかけられていると考えられます。

もっとも、相続人自身が負担の履行状況を日常的に把握するのは容易ではありません。そこで実務上は、遺言執行者をあらかじめ指定しておく方法が案内されることが多くなっています。遺言執行者であれば、負担を履行しない受遺者に対する取消し請求も担うことができるとされており、相続人に負担をかけずに履行状況を確認できる体制を整えやすくなります。

チェックリスト

  • ☐ ペットの世話を頼みたい相手に、事前に承諾を得ている
  • ☐ 財産の額と世話にかかる負担のバランスを検討している
  • ☐ 遺言書に負担の具体的な内容(世話の期間・方法など)を明記する予定である
  • ☐ 遺言執行者を誰にするか検討している
  • ☐ 万一、負担付遺贈を受けた人が先に亡くなった場合の対応も考えている

Q. 負担付遺贈を受けた人が、財産を受け取る前に亡くなっていたらどうなりますか?

A. その場合は遺贈自体の効力が生じないと考えられ、別の人に世話を託す遺言を改めて用意しておく必要があります。年齢や健康状態を踏まえ、複数の候補者を検討しておくと安心です。

Q. ペットの世話を頼む相手は家族でなくても構いませんか?

A. 友人やペット関連団体など、家族以外の人・法人を受遺者にすることも可能とされています。誰に託すにしても、事前に本人の承諾を得ておくことがトラブル防止のポイントです。

Q. 負担付遺贈と負担付死因贈与は、何が違いますか?

A. 負担付遺贈は遺言者の単独の意思で作成でき、遺言者はいつでも撤回できるとされています。一方の負担付死因贈与は贈与者と受贈者双方の合意にもとづく契約であり、原則として一方的な撤回がしにくいとされる点が異なります。

ワンポイントアドバイス: 負担付遺贈は、財産の額と世話の負担のバランスが取れていないと、受遺者に「割に合わない」と感じられ、実際には履行されないおそれがあります。ペットの想定される余命や医療費、日々の世話にかかる労力も踏まえたうえで、渡す財産の額を検討しておくとよいでしょう。

まとめ

ペットに直接財産を残すことはできませんが、負担付遺贈という仕組みを使えば、世話をお願いしたい人に財産を託しながら、ペットの将来に備えることができます。負担が履行されない場合の対応(民法1027条)や、遺言執行者の指定もあわせて検討しておくことで、実効性の高い遺言書に近づけることができるとされています。

ペットのための遺言書、実効性のある内容にまとめましょう

当相談室は行政書士事務所のため、負担付遺贈を盛り込んだ遺言書の文案作成や公正証書遺言のサポートは承れます。相続人間で負担の履行をめぐる争いになった場合の代理交渉は、弁護士のご紹介という形でサポートいたします。松戸市・柏市・流山市・我孫子市・千葉県全域で対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

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