かわいい孫に財産を残したい…遺言で直接渡せる?|孫への遺贈と相続税2割加算・生前贈与加算の注意点

遺言で孫に財産を遺贈する方法と相続税の2割加算・生前贈与加算などの注意点を解説する柏市の行政書士だいち法務事務所のアイキャッチ画像 相続 遺言 不動産
孫への遺贈と相続税2割加算・生前贈与加算の注意点

「息子に渡すと、そのまま住宅ローンの返済に消えてしまいそう。大学に進む孫のために、少しでも直接残してあげたいんです」。お孫さんへの想いから、遺言のご相談にいらっしゃる方が増えています。柏市の行政書士だいち法務事務所です。結論からお伝えすると、お子さんが健在であれば孫は通常相続人ではありませんが、遺言で「遺贈」と定めておけば、孫に財産を直接渡すことができるとされています。ただし、相続税の2割加算や、それまでの生前贈与が相続財産に足し戻される点など、知っておきたい注意点もあります。

この記事の結論

  • 子どもが健在なら孫は原則として相続人になりませんが、遺言で遺贈すれば孫に財産を直接残すことができます。どの財産を、どの孫に、どれだけ渡すかを具体的に書くことが大切です。
  • 遺贈で財産を受け取った孫は、相続税の計算で税額が2割加算される対象になるとされています(孫養子も同様、親に代わって相続する代襲相続人は対象外)。
  • 遺贈を受ける孫に、亡くなる前の一定期間(段階的に最長7年)に贈与した財産は、相続財産に加算されます。生前贈与と遺言を組み合わせる場合は、税理士にも事前に試算を依頼しておくと安心です。

お孫さんへの想いを、きちんと届く遺言のかたちに

孫は相続人ではない、だから「遺贈」で残す

民法では、亡くなった方の子が第一順位の相続人になります。子が先に亡くなっている場合には、その子(つまり孫)が代わりに相続人になる代襲相続が起こりますが、子が健在であれば、孫には相続権がありません。遺言がなければ、孫に財産が直接渡ることは原則としてないということです。

そこで使われるのが、遺言による「遺贈」です(民法964条)。「柏市○○の土地を孫○○に遺贈する」「○○銀行の預金のうち300万円を孫○○に遺贈する」のように、渡したい財産と受け取る孫を特定して書きます。孫が複数いる場合は、全員の名前と生年月日を書き分けておくと、誰のことかを巡って迷いが生じにくくなります。

遺言執行者を指定しておくことも重要です。預金の解約や不動産の名義変更を、遺言執行者が進められるようにしておけば、孫やその親が手続きの負担を抱えずに済みます。

税金面で気をつけたい3つのポイント

1つ目は、相続税の2割加算です。相続税法では、配偶者と一親等の血族(子・父母)以外の人が相続や遺贈で財産を取得した場合、その人の相続税額に2割を加算するとされています。遺贈を受けた孫はこの対象になり、孫を養子にしている場合(孫養子)も原則として加算の対象です。一方、親が先に亡くなって代襲相続人として相続する孫は、加算の対象外とされています。

2つ目が、生前贈与加算です。相続や遺贈で財産を取得した人が、亡くなる前の一定期間内に贈与を受けていた場合、その贈与財産は相続財産に加算して相続税を計算します。2024年1月以降の贈与からは、この期間が3年から段階的に7年へ延長されています。毎年110万円以内の贈与を孫に続けていても、遺言でその孫に遺贈すると、贈与分が相続税の計算に戻ってくる可能性があるわけです。逆に、遺贈を受けない孫への贈与は、原則としてこの加算の対象にならないとされています。

3つ目は、不動産を遺贈する場合のコストです。相続人ではない孫が不動産の遺贈を受けると、名義変更の登録免許税は固定資産税評価額の2%(相続人なら0.4%)となり、特定の財産を指定して渡す遺贈では不動産取得税もかかるとされています。土地や建物を孫に残したいときは、こうした費用も含めて検討しましょう。

孫が未成年なら、財産の管理まで考える

未成年の孫が遺贈を受けると、受け取った財産は通常、親権者である孫の親(つまりご自身の子やその配偶者)が管理することになります。「親ではなく、孫自身のために使ってほしい」とお考えなら、民法830条の仕組みが参考になります。無償で子に財産を与える第三者は、親権者に管理させない意思を示し、別の管理者を指定できるとされているため、遺言の中でその旨を定めておく方法が考えられます。

また、子どもたちの遺留分にも目を配っておきたいところです。孫に多くの財産を遺贈した結果、子の遺留分を侵害すると、子から孫に対して金銭の支払いを求められることがあり得ます。親子の間でわだかまりを残さないよう、全体のバランスを確認してから金額を決めましょう。

チェックリスト

  • ☐ どの孫に、どの財産を、どれだけ遺贈したいかを書き出した。
  • ☐ 遺贈を受ける孫の氏名・生年月日を正確に確認した。
  • ☐ 孫への遺贈で相続税の2割加算がかかる可能性を把握した。
  • ☐ その孫にこれまで生前贈与をしていないか、金額と時期を整理した。
  • ☐ 子どもたちの遺留分を侵害しない範囲になっているかを確認した。
  • ☐ 孫が未成年の場合、受け取った財産を誰に管理してもらうかを考えた。
  • ☐ 遺言執行者を誰にするかを決めた。

Q. 孫に遺贈すると、子どもにかかる相続税が増えてしまいませんか?

A. 相続税は遺産全体の金額をもとに総額を計算し、それを実際に受け取った割合で各人に配分する仕組みです。孫に遺贈した分は孫が負担するのが基本ですが、2割加算や生前贈与加算の影響で家族全体の税額が変わることもあるため、具体的な試算は税理士にご確認ください。

Q. 生まれたばかりの孫や、これから生まれる孫にも遺贈できますか?

A. 年齢にかかわらず、遺言者が亡くなった時点で生まれている孫であれば遺贈を受けられます。民法では、胎児も相続や遺贈については既に生まれたものとみなされるとされています。一方、まだ生まれていない将来の孫を想定する場合は書き方に工夫が必要なため、専門家と一緒に文案を検討することをおすすめします。

Q. 孫が受け取りたくないと言ったら、どうなりますか?

A. 遺贈は受け取る側が放棄することもできます。特定の財産を指定した遺贈であれば、遺言者が亡くなった後いつでも放棄でき、放棄された財産は原則として相続人に帰属するとされています。孫が未成年の場合、放棄の判断は親権者が代わって行うことになります。

ワンポイントアドバイス: 孫に財産を残すと決めたら、遺言書の付言事項に「○○には大学で学ぶための資金として役立ててほしい」など、使い道への願いを書き添えてみてください。法的な拘束力はありませんが、受け取ったお孫さんにとっても、その親にとっても、おじいさま・おばあさまの気持ちが伝わる大切なメッセージになります。

まとめ

子どもが健在の場合、孫は相続人ではないため、財産を直接残すには遺言による遺贈が必要です。相続税の2割加算や生前贈与加算、不動産を渡す場合の登録免許税・不動産取得税、未成年の孫の財産管理、子どもたちの遺留分など、事前に確認しておきたい点は少なくありません。お孫さんへの想いを確実に届けるためにも、渡す財産と書き方をていねいに整理してから遺言書を作りましょう。

孫への遺贈を含む遺言書づくり、柏市の相談室がお手伝いします

行政書士は、相続人の調査(戸籍収集)、財産目録の作成、自筆証書遺言・公正証書遺言の文案作成と公証役場との調整、遺言執行者への就任などを承っております。なお、相続税の試算や申告は税理士、遺留分をめぐる交渉や紛争対応は弁護士、不動産の名義変更(登記)は司法書士の業務となるため、必要に応じて適切な専門家をご案内いたします。

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