実家の土地が祖父名義のままだった…今から相続登記できる?|数次相続で増える相続人と令和9年3月31日の期限・免税措置

実家の土地が祖父名義のまま残っている場合の相続登記の進め方、数次相続で相続人が増える仕組み、令和9年3月31日の期限と登録免許税の免税措置を解説する柏市の行政書士だいち法務事務所のアイキャッチ画像 相続 遺言 不動産
祖父名義のままの土地も今から相続登記でき、2024年4月より前の相続は原則として令和9年3月31日までの申請が必要とされています

「父が亡くなったので実家の名義を調べてみたら、建物は父の名義でしたが、土地は30年以上前に亡くなった祖父の名義のままでした」――柏市の行政書士だいち法務事務所で、相続のご相談を受けていると、こうした場面に出会うことがあります。かつては相続登記に期限がなく、固定資産税さえ払っていれば困ることも少なかったため、名義が何代も前のまま残っている土地は珍しくありません。(参考例)いざ実家を売ろうとしたときに初めて祖父名義だと分かり、遠方の親戚まで連絡を取ることになって売却が半年以上遅れた、というケースもあります。今回は、祖父名義のまま残った土地の相続登記の進め方と、期限・費用の注意点を整理します。

この記事の結論

  • 祖父名義のままの土地でも、今から相続登記をすることはできます。ただし、祖父の相続について話し合う必要があり、すでに亡くなった相続人がいれば、その方の相続人も加わる「数次相続」となるため、関係者が大きく増えることがあります。
  • 2024年4月に始まった相続登記の義務化は、それより前の相続にも適用されます。祖父名義の土地も、相続を知っている場合は原則として令和9年(2027年)3月31日までに登記の申請が必要とされ、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になり得ます。
  • 途中の相続が1人だけの相続であれば、祖父から現在の取得者へ1回の登記で名義を移せる場合があります。亡くなった方への名義変更や評価額100万円以下の土地の登録免許税の免税措置も、令和9年3月31日までとされています。

何代も前の名義が残った実家、まずは相続関係の整理から始めませんか

まず確認したい、実家の土地の「本当の名義」

名義が昔のまま残っているかどうかは、固定資産税の納税通知書だけでは分からないこともあります。次の方法で、土地と建物それぞれの名義を確かめておきましょう。

  • 登記事項証明書(登記簿謄本):法務局で、土地と建物の現在の所有者を確認できます。土地が複数の筆(区画)に分かれている場合や、私道の持分がある場合は、それぞれ確認が必要です。
  • 名寄帳・固定資産税の納税通知書:市区町村が把握している不動産の一覧です。名義人の欄に「故〇〇 外」のように記載されていれば、亡くなった方の名義のまま残っている可能性があります。
  • 所有不動産記録証明制度:2026年2月に始まった制度で、亡くなった方が登記簿上の所有者となっている不動産を、法務局で一覧にして証明してもらえます。祖父名義の不動産がほかにも残っていないかを調べる手がかりになります。

建物は父の名義、土地は祖父の名義というように、土地と建物で名義の世代がずれていることもあります。片方だけ相続登記をしても実家全体を売却・活用することはできないため、両方をそろえて確認することが大切です。

誰と話し合う?数次相続で相続人が増える仕組み

祖父名義の土地を相続登記するには、まず「祖父の相続」について、誰がその土地を取得するかを決める必要があります。祖父の相続人のうち、すでに亡くなっている方がいれば、その方の立場はその方の相続人に引き継がれます。これが数次相続です。

たとえば、祖父が亡くなったとき、相続人は祖母・父・叔母の3人だったとします。その後、祖母と父が亡くなっていれば、祖父の土地について話し合うのは、叔母と、父の相続人(母と子どもたち)です。叔母もすでに亡くなっていれば、叔母の配偶者や子(いとこ)まで加わります。世代を重ねるほど、普段は付き合いのない親戚と話し合う必要が出てくるのです。

手続きの準備として、次のような作業が必要になります。

  1. 戸籍の収集:祖父の出生から死亡までの戸籍に加え、途中で亡くなった相続人それぞれの出生から死亡までの戸籍、現在の相続人全員の戸籍を集めます。2024年3月からは戸籍の広域交付により、本人や直系の家族の戸籍は最寄りの市区町村でまとめて請求できるようになっています。
  2. 相続関係の整理:誰がどの相続の相続人なのかを、相続関係説明図にまとめます。
  3. 遺産分割協議:祖父の相続についての協議書に、亡くなった相続人の「地位を承継した人」として、その相続人全員が署名・押印します。協議書は1通にまとめる方法と、相続ごとに分ける方法があります。

連絡先が分からない親戚がいる場合は、戸籍の附票で住所を調べ、手紙で事情を説明するところから始めるのが一般的です。どうしても所在が分からない場合は、不在者財産管理人の選任のほか、相続開始から10年が過ぎていれば、裁判所の手続きで所在不明の相続人の持分を取得する制度も設けられています。

期限と費用:令和9年3月31日・中間省略・免税措置

2024年4月1日から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務になりました。この義務は、2024年4月より前に発生した相続にも適用されます。施行前の相続については、施行日と、相続による取得を知った日のいずれか遅い日から3年以内とされているため、祖父名義の土地を相続したことを以前から知っている場合は、令和9年(2027年)3月31日が期限の目安になります。

期限までに遺産分割の話し合いがまとまりそうにない場合は、「相続人申告登記」を利用する方法があります。自分が相続人であることを法務局に申し出るもので、これにより申請義務を果たしたものとされます。ただし、名義が移るわけではないため、その後に遺産分割がまとまったら、その日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。

費用面では、次の点を押さえておきましょう。

  • 登録免許税:相続登記の登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%が基本です。
  • 中間省略:途中の相続(上の例でいえば祖父から父への相続)の相続人が1人だけ、または遺産分割で1人に決まった場合は、祖父から現在の取得者へ1回の登記で名義を移せるとされています。途中の相続人が複数のまま共有になる場合は、相続ごとに登記を重ねる必要があります。
  • 免税措置:相続で土地を取得した方が登記をしないまま亡くなった場合の、その方への名義変更(中間の登記)や、評価額100万円以下の土地の相続登記は、登録免許税が免除される措置があります。適用期限は令和9年3月31日までとされています。

何代にもわたる相続登記は、戸籍の量も、協議書の作り方も複雑になりがちです。相続関係の整理は早めに進め、登記申請は司法書士に依頼するのが一般的です。

チェックリスト

  • ☐ 実家の土地と建物、それぞれの登記簿上の名義を確認した。
  • ☐ 私道の持分など、見落としやすい土地がないか調べた。
  • ☐ 祖父の相続人と、そのうち亡くなっている人を書き出した。
  • ☐ 祖父と途中で亡くなった相続人の、出生から死亡までの戸籍を集めている。
  • ☐ 現在の相続人全員の住所と連絡先を把握している。
  • ☐ 令和9年3月31日までに登記が間に合うか、相続人申告登記が必要か検討した。
  • ☐ 中間省略や免税措置が使えるかを、専門家に確かめた。

Q. 祖父名義のままでも、実家を売ることはできますか?

A. 売却の前提として、まず現在の取得者への相続登記を済ませる必要があります。買主への名義変更は登記簿上の所有者からしか行えないため、売却を考え始めた段階で、相続関係の整理と相続登記に取りかかるのが安心です。

Q. 会ったこともない親戚に、いきなり協議書を送っても大丈夫でしょうか?

A. 突然書類だけが届くと、警戒されて話が進まなくなることがあります。まずは手紙で、祖父名義の土地が残っている事情と、相続登記が義務になったことを丁寧に説明し、相手の意向を聞いてから協議書を送る流れが望ましいと考えられます。

Q. 祖父の土地のことを、つい最近まで知りませんでした。それでも期限は令和9年3月31日ですか?

A. 期限は「相続で取得したことを知った日」から数えるため、施行日より後に知った場合は、知った日から3年以内とされています。ただし、知った時期を説明できるようにしておくことが大切なので、早めに手続きを始めるに越したことはありません。

ワンポイントアドバイス: 祖父名義の土地は、今の世代で整理しないと、次の世代ではさらに相続人が増えて手がつけにくくなります。お父さまの相続手続きを進めるタイミングは、昔の名義をまとめて整理できる好機です。不動産の売買・管理に携わってきた経験もふまえ、柏市・松戸市・流山市・我孫子市の実家について、戸籍収集から協議書の作成、売却を見据えた段取りまでお手伝いします。

まとめ

実家の土地が祖父名義のままでも、今から相続登記をすることはできます。ただし、祖父の相続について、途中で亡くなった相続人の相続人まで含めて話し合う数次相続となるため、関係者が増え、戸籍の収集にも時間がかかります。2024年4月より前の相続にも登記義務が及び、原則として令和9年3月31日が期限の目安です。中間省略や登録免許税の免税措置も期限があるため、名義に気づいた段階で早めに相続関係の整理を始めましょう。

祖父名義・曾祖父名義の実家の整理は、柏市の相談室へ

行政書士は、相続人の調査(戸籍収集)、相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成などを承っております。なお、相続登記・相続人申告登記の申請は司法書士、相続税の申告は税理士、実家の売買の仲介は宅地建物取引業者、相続人間の交渉・訴訟や家庭裁判所での手続きは弁護士・司法書士の業務となるため、必要に応じて適切な専門家をご案内いたします。

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