亡くなった親の住民税、誰が払う?|1月1日基準の課税と相続人代表者指定届・相続税の債務控除

亡くなった親の住民税を誰が払うのか、1月1日基準の課税・相続人代表者指定届・相続税の債務控除を解説する柏市の行政書士だいち法務事務所のアイキャッチ画像 相続 遺言 不動産
住民税は1月1日に住所がある人に課税されるため、年の途中で亡くなった場合はその年度分を相続人が引き継いで納めるとされています

こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。親が亡くなって葬儀や役所の手続きが一段落したころ、親あての住民税の納税通知書や督促が届いて驚かれる方は少なくありません。「本人はもう亡くなっているのに、払わないといけないの?」「誰の名前で払えばいいの?」と戸惑う声もよく聞かれます。(参考例)父が5月に亡くなり、その年の住民税は払わなくてよいと思っていたところ、相続人あてに残りの納税通知書が届いた、というケースは珍しくありません。今回は、亡くなった方の住民税の考え方と、相続人がすべき手続きを整理します。

この記事の結論

  • 住民税(市民税・県民税)は、その年の1月1日に住所がある人に、前年の所得をもとに課税されます。1月2日以降に亡くなった場合、その年度分はすでに課税が決まっているため、残りは相続人が引き継いで納めるとされています。
  • 柏市では「相続人代表者指定届出書」を出して代表者を決めておくと、納税通知書などが代表者あてに送られます。届出がない場合は、市が戸籍を調べて相続人に通知書を送るとされています。
  • 亡くなった方の未納の住民税は、相続税の計算で「債務」として差し引ける対象とされています。一方、相続放棄をした人は納税義務を引き継ぎません。

親が亡くなった後の手続き、何から手をつければいいか一緒に整理します

住民税は「1月1日に住んでいた人」にかかる税金

住民税は、毎年1月1日(賦課期日)に住所がある市区町村が、その人の前年1年間の所得をもとに税額を決める仕組みとされています。つまり、住民税は「後払い」の性質を持つ税金です。この仕組みから、亡くなった時期によって扱いが次のように分かれます。

  • 1月2日以降に亡くなった場合:その年度の税額は1月1日時点で課税が決まっているため、亡くなった後の納期の分も含めて全額を納める必要があり、相続人が納税義務を引き継ぐとされています。
  • 亡くなった年の所得について:翌年の1月1日には住所がないため、翌年度の住民税は課税されないとされています。

なお、所得税は住民税とは別の仕組みで、亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの所得について、相続人が準確定申告(相続開始を知った日の翌日から4か月以内)を行う必要がある場合があります。「翌年度の住民税がかからない=税金の手続きが何もない」ではない点に注意が必要です。

柏市での手続き:相続人代表者指定届出書

相続人が複数いる場合、誰に納税通知書を送ればよいか市では分かりません。そこで柏市では、相続人の中から代表者を決めて届け出る「相続人代表者指定届出書」の提出を案内しています。代表者の身分証明書の写しを添えて提出し、電子申請にも対応しているとされています。

届出がされない場合でも納税義務がなくなるわけではありません。その場合は市が戸籍を調査し、相続人に納税通知書を送付するとされています。どこに書類が届くか分からないまま時間が過ぎると、納期限を過ぎて延滞金が生じるおそれもあるため、早めに代表者を決めて届け出ておくと安心です。

また、亡くなる前に給与からの天引き(特別徴収)や年金からの天引きで納めていた場合、亡くなったことで天引きが止まり、残りの税額は相続人が納付書で納める形(普通徴収)に切り替わるのが一般的とされています。勤務先や年金からの天引きがあったかどうかも、あわせて確認しておきましょう。

相続放棄をした場合と、相続税の債務控除

住民税の納税義務は、相続人が相続によって引き継ぐものとされています。そのため、家庭裁判所で相続放棄が受理された人は、はじめから相続人でなかったことになり、亡くなった方の住民税を納める義務も引き継ぎません。自治体によっては、相続放棄申述受理通知書などの写しの提出を求められることがあります。相続人全員が相続放棄をした場合も、相続人として納税義務を承継する人はいないことになります。

反対に注意したいのが、相続放棄を考えている段階で、亡くなった方の預金から住民税を支払うケースです。相続財産からの支払いが「相続財産の処分」にあたるかどうかは状況によって判断が分かれる可能性があるため、放棄を検討している場合は、支払う前に専門家へ相談することをおすすめします。

相続税がかかる場合には、亡くなった時点で未納だった住民税は、相続財産から差し引ける「債務」として扱われるとされています(相続税法13条・14条)。相続人が亡くなった後に納めた住民税の領収書は、相続税の申告で使うことがあるため、捨てずに保管しておきましょう。

チェックリスト

  • ☐ 亡くなった日が1月2日以降かどうかを確認した。
  • ☐ その年度の住民税の納税通知書・納付書が手元にあるか探した。
  • ☐ 給与天引き・年金天引きで納めていたかを把握している。
  • ☐ 相続人の代表者を話し合って決め、相続人代表者指定届出書を出した。
  • ☐ 相続放棄を考えている場合、亡くなった方の預金から支払う前に相談先を決めた。
  • ☐ 亡くなった後に納めた住民税の領収書を、相続税の申告用に保管している。
  • ☐ 所得税の準確定申告が必要かどうか、あわせて確認した。

Q. 父が12月に亡くなりました。翌年度の住民税はかかりますか?

A. 住民税は1月1日に住所がある人に課税されるため、前年中に亡くなった方には、翌年度の住民税は課税されないとされています。ただし、亡くなった年度の分で納め終わっていない税額があれば、相続人が納めることになります。

Q. 代表者になった相続人が、住民税を全額負担しなければならないのですか?

A. 代表者は、市からの書類を受け取り、納付の窓口となる役割と考えられます。相続人の間で誰がいくら負担するかは別の問題で、原則として相続分に応じて引き継ぐとされていますので、代表者が立て替えた場合は相続人の間で精算するとよいでしょう。

Q. 遺産分割が終わっていなくても、住民税は納めないといけませんか?

A. 住民税の納期限は遺産分割の進み具合とは関係なく到来するため、分割前でも期限までに納める必要があるとされています。代表者がいったん立て替え、遺産分割協議の中で精算方法を決めておく方法がよく取られます。

ワンポイントアドバイス: 住民税と同じく、固定資産税も1月1日を基準に課税されるため、亡くなった年度の分は相続人が納めることになります。柏市では、住民税と固定資産税で届出の窓口や書類が異なる場合がありますので、両方をまとめて確認しておくと、手続きの漏れを防ぎやすくなります。

まとめ

住民税は1月1日に住所がある人に前年の所得で課税されるため、1月2日以降に亡くなった場合は、その年度の残りを相続人が引き継いで納めるとされています。柏市では相続人代表者指定届出書で代表者を決めておくと、通知書の行き先がはっきりします。相続放棄をした人は納税義務を引き継がず、相続税の申告では未納だった住民税を債務として差し引ける点も押さえておきましょう。

届いた書類をどうすればいいか迷ったら、柏市の相談室へ

行政書士は、相続人の調査(戸籍収集)、遺産分割協議書の作成、官公署に提出する書類の作成などを承っております。なお、相続税の申告や税額の個別の判断は税理士、相続放棄の申述は司法書士・弁護士、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士の業務となるため、必要に応じて適切な専門家をご案内いたします。

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